ハナミズキ 2014-09-28 23:00:11 |
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軽井沢に行く前日に、父親が突然、悪魔な言葉を吐き出した。
「すまん和也。父さん急な出張でインドの方に行かなければならなくなったんだ。
で、だな。その出張って言うのが、夫婦同伴でなければならなくてな、悪いが
鈴ちゃんも一緒に、軽井沢の方に連れてってやってくれないか?」
「ちょっと待ってくれよ!父さん!
俺、友達誘ってるんだぜ!?
そこにこいつなんか連れてったら変に思われるだろ!」
「なら鈴ちゃんも友達を誘って行けばいいじゃないか」
鈴には、一緒に旅行に行くような親しい友達は居ないのだ。
グループの中に入れてもらってはいるが、ただそれだけの事。
それでも一番親しい友人といえば、その人達しか思いつかなかった。
旅行期間は1週間。
慶清でオペが入ってる日は8月。
まぁ、何とかなるかと、グループの子たちに連絡を取った。
軽井沢と聞かされては、女子達は即答で「行く!!」と返事をする。
そしてその旅行に、和也達のグループも加わっているとなれば、勉強どころの騒ぎではなくなってしまった。
車で行けば楽なのだが、運転できる人が居ない。(鈴はアメリカで16歳の時に免許を習得し、国際免許も所持をしている。日本に帰って来てからも手続きをし、日本の免許も更新をした)
一応、鈴が持ってはいたが、それは秘密なので、一行は電車に乗り、男子4人、女子が4人、計8人の大移動となる。
女子も同行する事になったのを知った男子は、テンションが上がりまくっていた。
女子の方は、お目当ての男子と、この機会により仲良くなろうと勉強どころではなく、それこそ何処から声を出しているんだと言わんばかりの黄色い声を張り上げ、猫なで声を出しながら纏わり付いているのであった。
鈴にしてみれば、そういう光景は、日本に来るまで身近ではあまり目にしない光景だった。
大学時代は皆、勉強に精を出しそれどころではなかったし、研究所でも、研究が恋人だと言う人がほとんどだ。
勿論、ERでイチャイチャしているような人はいない。
そんな事をして乳繰り合っていたら、助かる命も助からなくなる。
紛争地では、そんな事をする余裕が何処にあろうか。
皆、今を生き延びる事に必死だ。
そんな事が出来るのは、平和な世の中になった時だけであろう。
そう考えると、「日本は平和だなぁ~」と思えるのであった。
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