▽▲▽▲ 2014-08-18 14:57:42 |
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( 無言で相手の話を聞く。何も映さない海を、"綺麗"か。確かに可笑しい、でも彼女が云うなら其の海は綺麗だったんだろう。そんな事を思い、相槌を打てば。今なら分かる、そう言った相手の言葉に少々混乱。嗚呼、なるほど。暫くして理解出来たのか、其れでも彼の話は黙って聞いて。_"綺麗だな"不意に耳に届いた声を聞き取り顔を上げて、腕を掴まれ其の侭立ち上がっては指された方を恐る恐る視界に入れる。自分にとってあの日からの海は、ただ広くて、何もかも奪うだけの、残酷な海。其れでも今日は快晴。月の光で輝く海面、泣きそうな顔して笑う彼の顔。見たくない、だけど見入った表情で真っ直ぐ海を眺める。真っ暗な、其れでも微かに輝いている海に。_なあ、お前の弟は強いのか弱いのか分かんねーよ。海を見詰めた侭頭の中で彼女を想い想う。想えば想うほど、涙が出てくる。此奴がお前の事好きだったように、俺もお前の事好きだった。だった?否、今でも好きだ。この温もりに慣れてはいけない、分かってる。然し途端に離されては無意識に手を伸ばし相手の腕を掴めば引き寄せ己より小さな身体をそっと抱き締めて。小さく呟く、「ごめん、暫くこうさせて。」 )
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