▽▲▽▲ 2014-08-18 14:57:42 |
通報 |
おー、気ィつけてな
( 長らく顔を出していた太陽もすっかり海に潜り、人がまばらになってきた夜の砂浜にて。片付けやらシャワーやらを全て終え、薄手のTシャツにジャージを履き膝の下辺りまで捲りあげた姿の俺は、纏まって帰っていく友人達に「寄っていくところがあるから」なんて告げひらりと手をあげれば作り笑顔で上記を述べ。そして彼らの姿が見えなくなるまで見届けると、すっかり閑静な場所へと変わった海を一人眺め。そして目を細め意味もなく無意識に髪を弄ると、意を決したように小さく息を吐き海の家へと向かって歩いていき。そして目的の場所に近づくにつれ、一人腰をおろし俺を待つ「彼奴」の姿が目に入り。ふ、と視線を落とし俯きがちに歩けば、何故だか波の音と地面に擦れるサンダルの音がやけに敏感に耳に入り自分が緊張状態にある事を感じ。――ずっと探し続けていた男。そいつの存在は俺の目的であり全てだった。だけど彼と区切りがついてしまえば、俺は絶対に忘れてはいけないこの怒りを失ってしまうんじゃないだろうか。そんな事が急に怖くなり少し足がすくんで。何故、俺がこの男を探し続けているのかなんて、唯の怒り任せであり思いついた当時抱いていた明確な理由なんてものはとっくに忘れてしまっていた。もしかすると、理由はこの長い時間にそのものなのかもしれない。――そんな途方もない妄想をすれば、俯いているため正確な距離は分からないがもう数歩先にいるであろう彼の元へ歩み、目の前で足を止めると視線を彼へ投げ、唇をきつく結び無言で相手の反応を待ち。 )
トピック検索 |