キョウシロウ 2014-08-14 21:53:29 |
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《忍び》
この集団と行動して結構経つが…今一良く解らない奴がいる。他の奴らの行動や目的、理念は良く分かるって言っちゃ嘘になるかも知れない、元々そんな興味もねえんだがな。そう言っちゃ話はお終いだ。この話は俺、吉岡狂四郎から見た、仲間の一人シュウ・ラウドと言う人物の観察の記録になる。
「メガネメガネ…あれ、どこに行ったんでしょう?」
何時ものように宿屋を丸々借り切って各自其々の部屋に寝食をしている時、とある部屋からそんな声が聞こえて来る。
部屋の扉は少し開いていて、中には長髪の三つ編み、俺と同じ三白眼の目の男、だが見た目と違って性格は温厚なようだ。服装は忍装束で、口元を覆うマフラーが特徴的である。
「あれは…ツッコミ待ちか?」
俺は考える。どうやらメガネを探しているようではあるもののその頭にはメガネが、しかも一つだけじゃない頭の真上にもう一個、そして後頭部にもう一個と計三つのメガネを装着しているのだ。
「いや、ただのバカかもしれん。」
こいつの事は本当に良く解らない。勇者への忠誠心は本物で偵察やスパイの仕事もこなす優秀な忍者なのは知っているが、性格が一番読めないのだ。
「おい、何探してるんだ?」
真意を少し探って見るか、部屋の扉を開けて中へと足を踏み入れる。
「これはキョウシロウ様。実はメガネを探していまして…」
「はーん、どっか身近にあるんじゃねえか?」
「身近にですか…うーん…あ、ありました!」
シュウはやっとメガネに気付いたようだ。頭にある三つのメガネを手に取りそのうちの一つを装着する。
俺はこれでも、人間を見る目は一流だと自負してるんだがな…バカなのか天然なのか、それとも普段バカな事を演じるピエロなのか…。
「これで本が読めます。あれ今度は本が…」
椅子とケツの間にあるじゃねえか、お前今まで本の上に座ってたんだぞ。やっぱりこいつはただのバカな可能性が大きいが…結論、こいつの事は良く解らない。俺はそのまま、シュウの部屋を後にした。
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