ハナミズキ 2014-08-09 16:30:42 |
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そして夏休みに入ると、国帝館の系列である神社に修業として二か月ほど行かされるのがこの学校の習わしだった。
当然、白夜も夕月に付いて行く。
あらかじめ学校の方から報告を受けていた神宮の人達は、白夜を見るなり深く敬礼をし、その姿を見ようと大勢の神官や見習いたちが押し寄せてき、遠巻きに見つめている。
夕月は白夜の耳元でヒソヒソと話し出した。
「ねぇ・・ここって晴明神社よね?」
「あぁ・・・」
「また来ちゃったね・・・w」
「クソッ・・・ここには二度と来たくなかったんだがな」
白夜にとってここは、嫌な思い出しかない場所である。
「あっ!そういえば私、ここでやる事があったんだった」
不意に思い出したのか夕月が呟いた。
「前にここで、晴明様と約束をしたのよ。千年は持つ結界を張り直すって」
「結界って千年ももつのかよ」
「晴明様が張った結界は千年間もったわよ?」
「お前に出来るのか?」
「出来る!・・・と、思う」
少し自信なさげの様だ。
「私ね、千年前に晴明様と一緒に結界を張る修業をしてたのよ。
コツは教わったから、あとは白夜次第だって言ってたの」
「俺しだいってどういうことだよ」
「白夜と私の絆が深ければ深いほど強力な結界が張れるんだって」
晴明が言っていた「絆」とは、互いに信頼し合い、お互いを思いやる心の事を言っていたのだったが、この時の二人には、もっと違う別の事を考えていたようだ。
「絆か・・・夕月はいいのか?」
「・・・・うん。」
小さく頷くその顔は売れたトマトの様に真っ赤になっていた。
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