ハナミズキ 2014-08-09 16:30:42 |
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大学に入り二年も経つと、同級生たちも徐々に霊力や法力を身に着け始める。
その頃になると、夕月の側にはいつも九尾が居る事に気付く者も現れた。
初めは狐に祟られているのかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。
その狐は大人しく、夕月の言う事を素直に聞いている。
あまりにも穏やかな表情で夕月の側にいるのもだから、触りたがる人もいたが、手を差し出したとたんに怖い顔になり唸り始めるのだった。
そしてそれが単なる狐ではなく、使役されている式神だと思い始めるのであった。
普通の人間が、仕鬼など持つはずがないと、頭から思い込んでいたからだ。
この神学校に入学した者の中には、夕月と同じく実家が神社のため、仕方なく入って来た者もいる。
そういう者は、式神使いの夕月と結婚をすれば、自分は遊んで暮らせると考える者もいて、執拗にアプローチしてくる者も居た。
勿論そんな男子には目もくれなかったのだが、あまりのしつこさに白夜が切れて、とうとう人型を取るようになった。
人型を取った白夜の容姿に勝てる相手などおらず、やっと静かな日常が戻って来たと言うところだろう。
が・・・・・・。
男子は静まり返ったが、今度は逆に女子が騒ぎ出した。
「鬼頭さん、その人っていつも一緒に居る式神よね?名前とかあるの?」
「白夜って言うのよ」
「白夜君って言うんだ・・・かっこいいよね」
「ねぇねぇ、白夜君。白夜君の好きな食べ物って何?」
「夕月の「気」」
即答をする。
「「気」って?」
「生命エネルギーの様なもんだ」
「へぇ~♪それって、私にもあるんでしょ?食べてみたいと思わない?」
「はぁ?俺を殺す気か?!」
白夜は少しムッとして答えた。
「あ・・ごめんね。白夜は私以外の「気」は毒になるから摂取出来ないのよ」
「なぁ~んだ。つまんないの!」
夕月と白夜は顔を見合わせながら苦笑いをする。
白夜は、夕月が授業でいない時には、一人で学校内をぶらぶらしている。
ブラブラしていると、決まって他の学科の女子達に声を掛けられ、何かと食べ物を貢がれていた。
まぁ、ていのいい餌付けだろう。
餌をあげて懐かせれば、自分の方に気を引けると思っていたのだろうが、現実は思い通りにいかないようだ。
貰ったおやつはすべて持ち帰り、夕月と一緒に食べていた。
このころになると、白夜は寝る時も人型のままその姿を保つようになる。
ベッドが一つ空いているので寝るのには何の問題もない。
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