ハナミズキ 2014-08-09 16:30:42 |
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◆ 自覚 ◆
長きに渡る日照りの為、人々の食料が無くなり、飢えで命を落とす者が増えたと訴えがあり、ソウレン皇子率いる御一行様が視察に出かけてから一週間。
食料の配給や治療により、その騒ぎはだいぶ落ち着いてきた。
鈴と和也は、ようやく身体を休める事ができ、その日の晩は車の中でのんびりとくつろいでいた。
「やっと終わったって感じよねぇ~」
「そうだな」
2人はゆったりとソファーに腰かけ、秘蔵のワインを飲んでいる。
大きな仕事をした後には、いつもやっている、一種の打ち上げの様なものだ。
普段の2人なら、そんなに酒には弱くはない。
だが今回は、睡眠時間がほとんど取れないうえに、食事もまともに取れていなかった。
心身ともに疲労していたのだ。
そのせいで、普段なら決して酔わない酒の量で、2人は酔いが回ったようだった。
人は酔っ払うと、少なからずも本音が出るものだ。
普段は喋らない人でも、この時ばかりは口が滑らかになる。
「そう言えば夕方、お前いなかったよな」
「ソウレンとデートしてたの♪」
酔いが回り、少し陽気な鈴。
それとは逆に、『デート』と言う言葉に少しムッとする和也。
鈴に少し意地悪をしてやろうと、子供みたいな事を考えるのだった。
「また求婚されたんじゃないのか?」
「うん。された♪」
あっさりと答える。
「ソウレンも懲りないやつだな」
「でも可愛いとこもあるのよ?」
「ああいうのがタイプなのか?」
「まさかぁ」と、鈴はゲラゲラと笑う。
「なら、鈴のタイプの男ってどんな奴なんだ?」
和也は真顔で聞いて来るが、内心はドキドキである。
自分でもストレート過ぎる質問だったと思
「そうねぇ~、思いやりがあってぇ~、相手も事を第一に考えれる人かな?」
「それだけか?」
「そりゃぁ、背が高かったり、イケメンだったりすれば尚良いけど、問題は性格
よね」
「お前の場合は、うんと年上か年下の方が合いそうだよな」
すると鈴は、意外な事を言って来た。
「そんな事はないわよ。和也とだって合いそうだと思うけどなぁ~」
「俺? お前が俺の事好きだったとは思わなかったな」
和也がお意地悪っぽく言った。
「なによ・・・。私が和也の事好きだとおかしいの?」
鈴は口を少し尖らせながら、拗ねた様に言う。
そして目は、すでに酔っ払いのテンプレでもある様な『トロン』とした目だ。
それに、それに!現代の洋服で、露出度の高い服を着てるとなれば、普通の男なら「いただきます!」状態だ。
だがそこは、流石は和也!と褒めるべきなのだろうか。
残り少ない理性を保ち、平常心を装いながら言う。
「別におかしくはないさ。俺もお前の事は好きだしな」
そう和也が言うと、鈴はソファーから立ち上がり、トロンとした虚ろな目の状態で和也に近付いて行く。
和也は、隣に座っていた鈴がいきなり立ち上がり、自分の目の前に来た事を不思議に思ったが、そう思った瞬間に、鈴の両手が和也の肩に置かれ、そのまま向き合う形で和也の膝の上に座ってしまう。
肩に置かれた手は、するりと首に回され、鈴に襲われる形で唇を奪われた。
「んっ・・ぅんっ・・」
いきなりキスをされた和也はびっくりしたが、手に持っていたグラスをテーブルに置くと、両手を鈴の腰に回し、優しく抱きかかえる。
酒の力とは怖いものだ。
普段は同じ職場で働く同僚と言う態度を崩さなかった二人が、ほんの一瞬で恋人同士の様になってしまうのだから。
お互い好意は持ってはいたものの、それをおくびにも出さず、この1年、同じ密室で二人きりで過ごしてきたのだが、お互いの本音を知るともう止まらない。
和也が腰に回した手は徐々に下へ行き、服の中から素肌を触りだした。
その手に反応するかのように、鈴の体もピクリと跳ね上がる。
和也は鈴の反応を見ながら、唇から首筋へ、首筋から鎖骨へと、徐々にキスを移動させていった。
鈴の表情を見ると、酒のせいなのか、顔の色がピンク色に上気している。
そして、少し震えているのが分かる。
和也の家に来る前の事は分からないが、日本に来てからの鈴は、男性と付き合った事が無い。
仲が良かった男と言えば、自分と圭太ぐらいなものだった。
つまり、鈴は処女と言う事になる。
和也は出来るだけ優しく、そして怖がらせない様に細心の注意を払って鈴に触れていた。
しかし、元々残り少ない理性がどこまで耐えられるものだろうか。
そして鈴の耳元で囁いた。
「いいのか?」
鈴は無言のまま、首を縦に振り頷き、その後に蚊の鳴くような小さな声で、「うん」と言う。
それを合図の様に、和也は鈴を抱いたままベッドに移動をした。
「辛かったら言って、止めるから」
ベッドに寝かされた鈴に優しく言葉を掛ける。
鈴は首を左右に振り、「いいの。お願い」そう言って和也の首に再び両手を回すのだった。
先程までの優しいキスとは違い、お互いを求め合う様な激しいキスをする。
鈴がそのキスに溺れているうちに、一糸纏わぬ生まれたままの状態になっていた。
和也の優しく、しなやかで大きな手が心地よい。
鈴の体中に、赤い花びらが所々に咲き乱れた。
そして思わず声が出てしまう。
「ぁん・・・」
鈴の体の準備も整った頃、2人はとうとう結ばれたのだ。
「っつぅ・・・」
「止めるか?」
鈴は首を左右に振り、止めないでと言う。
そして二人は、心と体が繋がり、安心したように深い眠りについたのであった。
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