ハナミズキ 2014-07-29 20:56:35 |
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手には、先ほど台所を片付けていた際に、なんとなく握り締めて持ってきてしまっていた包丁が1本握られていた。
部屋の片隅で、今までの事を考えながら、その包丁を見つめている。
静まり返っていた部屋に、とつじょ見知った音が流れた。
私はその音のする方向に視線を向けた。
鳴っていたのはパソコンからのスカイプ着信音だった。
だれだろ・・どうせマメだろう。
でも・・マメがこんな時間に起きる?
そんな事を考えながら、パソコンの画面を見ると、チャットの主はサイだった。
「いるか?」
私は急いで返事を返した。
「いるよ」
「元気にしてたか?」
「元気に決まってんじゃん」
会話が続かない・・・。
何を話していいのか分からないのだ。
サナの異変に気が付いたのか
「なぁ、いま通話できるか?」
「えっ?」
「出来るのか、出来ないのかどっちなんだよ」
「できる・・」
通話に切り替えてから、『しまった!』と思った。
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