猿声が聞こえた。 もう秋だね。 かの御仁は白帝城から出て川を下って、どれくらい過ごしていたのかな? 私もあの声を聴くと虚しくなってしまう。 両岸に佇んでいる不吉の塊は、古来唐の時代は猿だったんだ。 変わっていく時間と秋の空を眺めながら 私はひとり、岸の猿に銃口を向けた。 パーン 静かな秋の空に乾いた音が響き渡っていた。