青葉 2013-10-19 22:21:19 |
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青葉は次に彼が現れたら、その後を着いていこうと決めていた。
彼が現れた時、青葉は金縛り中なので動くことはできない。だけど、金縛りが解けたら直ぐに追いかけてみることにした。
勿論うまくはいかないという結果は大前提だ。開かずの扉は、彼が開けるからこそ開くのだと思う。青葉が開けようとしても、裏にある大きな棚が邪魔して扉はびくともしないだろう。
でも、挑戦することにした。もしかしたら、彼が扉をくぐった直ぐ後ならば、彼が開いた異世界が閉じきらずに、青葉もくぐり抜ける事ができるかもしれない。そう考えた。
そんな挑戦を決意してから程なくして、青葉は金縛りにあい、彼は現れた。
青葉は懸命に金縛りをとこうとする。とにかく体を動かそうとする。それが金縛りのとき方だ。
彼は青葉の頭の横を通り過ぎていく。
焦る青葉。
彼は追うなら、早ければ早い程いいはずだ。
思いが通じたのか体が動く。
しかし、ひどく緩慢な動きだ。金縛りが続いているような感覚がある。でも体は動く。
何とか体を動かし起き上がる。そして気持ちとは裏腹にゆっくりと部屋を出る。
彼の姿はもうない。
開かずの扉をもう通り過ぎてしまっている。
部屋を出て、懸命に扉に近づく。
動きの鈍い体を引きずって体扉の前に立つと、扉は閉まっていた。彼は扉を閉めていったのだ。
逸る気持ちとは逆に、ゆっくりと扉のノブを回す。
そして、緊張しながら扉を押してみる。
異世界への扉は、青葉の動きと同じく、ゆっくりと開かれていった。
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