青葉 2013-10-19 22:21:19 |
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初穂と一緒にいることは苦痛だが、この苦痛は早野君が受けた苦痛に比べれば何てことない。それに初穂も犠牲者だ。早野君のことが好きだったのだから。小学生だったとはいえ、いや小学生だったからこそ好きな人が亡くなるのは大きな衝撃だっただろう。
罪滅ぼしをするのは僕の方だ。初穂が望むならば僕はここにいなければならない。
「嬉しい。何か飲んで。」
初穂が飲めと言えば飲まなければならない。僕は飲みたくないがアルコールを注文した。
「掛井君、本当にごめんなさい。」
僕が席に落ち着ついたと見定めると初穂は謝罪してきた。
「謝ることなんて何もないよ。」
僕は心の底からそう思った。
「大人になったんだね、掛井君は。あたしは全然なのに。」
何も答えられない。大人になったわけではない。罪を感じているだけ。引け目を感じているだけだ。
「でも、やっぱり謝らなくちゃ。おそらく嫉妬のせいでけっこう掛井君に辛く当たったけどさ、今は付き合ってるんだ
、あたし達。」
僕は当惑する。初穂が何を話しているのか解らない。
「浅井さん、誰と付き合ってるの?」
初穂は僕の問いに満面の笑みで答える。
「だから早野君とだって。話の流れから訊かなくても解るでしょう。嫌だな掛井君。わざわざ言わせて。今は早野君のこと彰太って呼んでるんだ。」
「!?」
僕はすぐに言葉が出なかった。
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