青葉 2013-10-19 22:21:19 |
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その後も、青葉はよく金縛りにあったが誰かが横を通ることはなかった。そのかわりにリビングの方から時々、四つ足の小動物が駆け回るような音や、彼女が高らかに鳴く声が聞こえる。そんな気がしてるだけかもしれないが、金縛りにあいながら青葉は彼女の存在を感じた。老紳士は本当にいて、彼女は記憶の部屋で生きているような気がした。いや、もうそう信じている。
あの出来事を体験したことで青葉は、忘れかけていた彼女を意識することになった。老紳士の言う通りならば、それによって彼女もあの部屋もまだまだ存続するはずだ。そして、青葉は扉を使わない。扉を扉として意識したが、使わない。
青葉は寝る前に彼女を思い出す。
あの時、彼女に触れることはできなかった。でも、きっと青葉が彼女を思い出すことで、記憶の部屋に現れる青葉が彼女を思う存分なで回すことだろう。それでいい。
終わり。
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