BL-満月ﾉ夜ﾆ-

え... ?
( 小刻みに震える己の身体を包み込みながら、普通の人が住んでいるような家には到底見えない屋敷を物珍しそうに見回して。見渡した限りは誰も居そうに無かったが、どこか寒気を感じるような雰囲気に早く雨が止まないものかといった願望が沸き上がってくる。すると背後からは階段を降りるような足音が聞こえて。次いで焦る気持ちに上乗せするように誰かが己に向かって声を掛けてきて、ﾋﾞｸﾘと身体を揺らし。振り向いてみるも、暗闇であまりはっきりとは顔が分からない 。「...ええ、ちょっと。 」此処の住民だろうか、等考えれば相手の質問に応答して、いきなり見知らぬ人が自分の家に入ってきたら誰もが迷惑だろうと思い扉に向かおうとしてみるも、どうやら雨宿りさせてくれるらしい相手の言葉を聞き優しい人かもしれないと信じきり恐る恐る階段を上っていき。 )
...あの、済みません、勝手にお邪魔しちゃって。
( こんな状況でも礼儀は忘れてはならないと、相手の背後から声を掛け。 )