山梔子 尊 2013-09-15 15:39:25 |
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…あれ、誰か来た。
(ノックもしないなんて、最初の挨拶が成ってない、等と内心では毒付くもそんな考えも吹っ切れる程の甘美な香りが己の鼻腔を擽り「…嗚呼、これだ。これが欲しかったんだ、」と双眸をゆっくりと閉じれば、す、と立ち上がり長い廊下と階段を下り、一番下の階まで降りて。階段の手摺にもたれ掛かる様にして相手をひたと見据えれば「…今晩は、雨に降られたの?」とあくまでもゆるりとした口調で暗がりから相手へと問い掛ければ首を傾げて。ずぶ濡れで寒そうな相手を見遣れば一目瞭然なものをわざと問い掛けるのは思わず鳴ってしまう己の喉の音を隠す為のものなのか、「暗いけど、上がれば?」と短く云えば相手に背を向け足を二階へと進めて)
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