歯車 2013-09-14 14:20:29 |
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丘の上の設計局周辺区域の森とは打って変わって下は湿気の多いジャングルだった。
「上の連中は施設に篭って管理と会議とはな。」
初めて顔を合わせた同僚の朝に吐き捨てた愚痴が頭を過る。
バラクラバの中に湿り気を感じ始め次第に汗が吹き出してきた。
頭の言葉を首を振って忘れると、本格的な山道に差し掛かった。
このジャングルは管理が行き届いていないため、
本国からの配給の安い作りのAK-45の簡素な作りのセーフティをゆっくりと外した。
こんな木造のストックではすぐにダメになる…分かっていても言葉には出せない。
作りはある程度いい。設計も間違っていない。
作り方の問題なのだ…と、思いつつも銃のことなどはよく解っていない。
徴兵された身でありながら、自らの家族を守るためでもある。
派兵された目的もわからないのだ。解るはずもない。
ソ連が何を考えているかなどどうでも良かった。
草を掻き分けると同時に大量の鳥と虫とが一斉に舞い上がった。
野生の合唱が鳴り止むと同時に冷たい通信機の音が風の音を切った。
「こちらパトロール。目的地に到着。」
嫌々ながら、報告作業を済ませる。
「こちらHQ、様子はどうだ??。」
「人影は見当たりません。先に来ていた隊員のみです。」
「了解。」
通信機が切れると同時に蒸し返す湿地帯へと脚を運んだ。
衛生班の食料供給が今からもうすでに待ち遠しい。
そうして私は、これからのジャングルでの警備生活に身を投じて行くことになった。
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