僕は人を絶望させるのが好きだった。崖から落ちるような、人生を落ちていくような、そんな顔をしながら絶望する人の顔を見るだけでも興奮した。そんなことを趣味とし、いつしか特技になっていた。そんな僕にはどうしても、どうしても、崖から落とす(絶望させる)事ができない人物がいた。 それは男ではなく。 俺を大根と例えるなら、アイツはエノキのような、可憐な女だった。