nl 復讐は甘美である。

…うん、まあ…その方がお互い、ね…。
(軽く頭を振った相手の動作を視界の隅で感じ思わずびくりと肩を震わせながら顔を上げるが、特になんの変化もなく言葉を告げる相手に一瞬強張った体もすぐに解れていき。自分も相手が言うように自ら選ばせてもらった方が気が楽だが、恐らくそうしないと相手的にも気まずいものがあったのだろうと何となく察すると頬の赤みを取るようにぺたぺたと自分の頬を触りながら苦笑混じりに呟き。ネットで注文となることをよくよく考えてみれば相手のアカウント、つまり男性客として登録したであろうアカウントでそのような少女向けの下着を買わせ履歴に残してしまうのも何だか気まずいような…と、そこまで考えてはた、と目を瞬かせるとここにきて漸くまだ相手の名すら聞いていないことに気付き。「…そういえば、さ。お兄さん、お名前何て言うの？…その、呼びにくいから偽名でも何でも教えてもらえると嬉しいんだけ、ど…。」となるべく相手に対しての刺激にならないようにそっと尋ね。)

…まぁ、受けとるのは俺だがな。
( 相手の言葉に軽く頷くもそういえば箱を受けとるのは自分だと苦い顔。最近は箱に何が入っているかどうか等配達者に分からないのだろうか、その前に買い物のアカウントは俺の物だ、履歴はすぐ消そう。なんてモヤモヤと考えるも、そんな事は気にしないようにと己の中で決めた際、名前を問われては言うべきか悩んだ挙げ句相手を見遣れば「 シン 」と一度だけ発音して。その後手元にあった資料に目を通し乍「 余談だが、御前の名前は知っている。 」そう呟いた後、視線を相手を戻し )

…シン…じゃあシンお兄さん。私のお名前知ってるなら、お前じゃなくてちゃんとお名前で呼んで、ね？
(頬に片手を当てたまま一度相手の名前をぼんやりと復唱すると偽名か実名かは分からないが名前を教えてもらえただけでも嬉しかったのかほのかに口元に笑みを浮かべ。相手が自分の名前を把握していることはなんとなく想定していたがそれならば、と机に軽く手をつき少し身を乗り出すと自分の名前を知っているにも関わらず硬い響きの"お前"という呼び方で呼ばれるのが嫌だったのか少しだけ拗ねたようにむっと唇をつき出すと不満げに若干落としたトーンで相手に要求して。)

＿＿＿ はぁ?
( シンお兄さんと言う呼び名は少し歯痒い上にどうかとは思うがそれには特に触れなかった。お兄さんなだけまだマシだろう、相手は年下で女子高生、誘拐犯の呼び名等オッサンと言われても仕方がないと思っていた程だ。しかし継がれた言葉を聞くなり驚いたような呆れたような声を発っせば一度黙り込んで「 ＿＿...取り合えず飯食ったら風呂な。 」なんて話題を変え手元にあった資料に視線を落とし近くの鞄の中へ閉まった。逢坂、この少女をそう呼びたくは無い。当たり前だがあの男の事を呼ぶようで虫酸が走る。しかしこの少女は御前と呼ばれる事を拒む。「 螢…悪いが、これで勘弁してくれ。 」名前で呼ぶのには抵抗があった、だが他に呼びようが無かったというわけだ。 )

…うん、それでいいよ。じゃあ、ご飯早く食べちゃうね…。
(名前云々のことは置いておいてこのあとのことを話す相手に少しでしゃばり過ぎたかと体勢を戻しながら少しだけ気分が沈み。しかし少し経ってから呟かれた名前に顔を上げ相手を見ると若干気まずそうな面持ちの相手が。それでも"お前"などではなくきちんと名で呼んでもらえたことには変わりなく僅かながらも嬉しそうに表情を緩めると小さく頷き応え。それからはもう余計な口を開くこともせずせ食事に集中すると程なくして皿は空になり、「…ごちそう、さま。」との呟きと共にそっと両手を合わせると終わったことを伝えるように無言のままじっと相手を見つめて。)

(/すみません、こちらに何か不備がありましたでしょうか？レスに何か不満がある、思っていた流れと違うなどなんでも良いので何かこちらに主様がいらっしゃらない原因があるのでしたらおっしゃってください。)

＿＿ 少し我慢しろ。
(相手が食べ終えた事と御馳走様と言う言葉に頷けば相手に近寄り己のﾈｸﾀｲで視界を奪った。この部屋以外は知られる訳にはいかない、特に研究室は。視界を奪った後そっと彼女を抱き上げ「 このまま風呂場へ運ぶ、落ちてもいいなら暴れろ 」そう少し笑みを含めて告げた。彼女が暴れる等無駄な抵抗はしない事はわかっているが一応忠告しておいた。「 かなりでかくなると思うが、着替えは洗濯機の上に置いておく 」階段を降り風呂場を目指す際に左記。華奢な彼女が己の服を着るとなると相等不恰好になるだろうが、そこは仕方がない。小さめの服があっただろうかと考えるもあるわけが無い。因みに下着はまだ買っていないので今のを履いてもらう事になるがそれは言わなくてもわかるだろう。)


(不備など有りませんよ-っ、遅くなり申し訳ありません!)

…着替え、上下とも貰えるなら下は紐か何かで調節出来るのもらえない？多分そうじゃないと、下ずり落ちちゃうと思う、し…。
(食事の終わりを告げたところで視界を奪われ一瞬何をされるのか、と少しだけ不安になったがその後の言葉によりすぐに何故こうされたのか納得し。それからすぐ感じた浮遊感と体を支えるように添えられた熱、恐らく相手の腕であろうそれに抱かれたまま運ばれていると認識すると少しだけふらりと安定しない上体を支えるようにお互い気まずくならない程度にと相手の肩に軽く手を添え掴まり。階段を下りていると思われる微かな家鳴りの音に此処は相手の実家かはたまた若い彼に中々の収入があって戸建て住まいなのか、などとどうでもよいことを考察していれば着替えに関する説明をされ。衣服の上は余程でなければ大丈夫であろうが下は流石に男女でのウエスト差を考えれば図々しいとは思えど頼まない訳にもいかず、あくまで上下とももらえるならば、というニュアンスでそれを伝えて。)
(/それならよかったです。いえいえ、こちらこそ催促するようなことをしてしまいすみません。どうも最近トピックの放置云々に敏感になりすぎているようでして。
ご連絡ありがとうございました、それでは引き続きよろしくお願いいたします。)

＿＿...紐か。探しておこう
(ｽﾞﾚ落ち防止に使う紐くらいなら研究室に多分ある、彼女から己の姿は見えないだろうが軽く頷いて上記を述べた。「 風呂も着替えも済んだら戸を叩いてくれ 」風呂場の脱衣所へ付けば目を覆うﾈｸﾀｲを取りゆっくりと下へ降ろした。取りあえず己は彼女が風呂に入ったら、着替えと紐を用意しよう。前記を告げ脱衣所の扉を閉めた後、風呂に入るのを扉の前で待った。その際携帯を確認すれば己の企みを知る友人から数件電話が来ている事に気づきかけ直した『 もしもし、＿＿＿ あぁ。心配するな、問題無い 』何かと思えば螢の事がﾃﾞﾚﾋﾞで報道されていると言う情報だった。しかしそれは勿論想定内、それに此所がﾊﾞﾚるとも思っていない。まぁ、もしﾊﾞﾚそうになれば仕事場にでも身を移そうか、)



(いえいえ!此方こそ引き続き宜しくお願い致しますっ)

…わかった。じゃあ、もしも何かあったらまた呼ぶ、ね。
(床に足がついたと実感してからすぐ目を覆っていたネクタイも取られ、暫く視界が暗かったためか明かりのついた脱衣場を少しだけ眩しがるようにぱちぱちと目を瞬かせ。それから相手の言葉に小さく頷いてから知らない家の風呂だということもあり勝手が分からないこともあるかもしれない、ということで一応声を掛けるかもしれないことを断ると扉がきちんと閉まったことを確認してから着替えを始め。中に着ていたキャミソールに包むようにした下着を更に制服の上着とスカートの間に挟むようにして畳み山にして積むと最後に畳んだスカーフ、そしてその上にそっと髪留めのピンを置き。着替えが終わりさて風呂に入ろうとしたところで何やら扉の外から相手と誰かの、恐らく電話ごしであろう会話が聞こえ。自分の状況とその言葉を合わせると何となく内容は理解でき、だからといって聞いていてもどうにもならない会話だと判断するとすぐ扉の傍から離れて浴室に入り。扉をしっかり閉めてから軽くプラスチックのその扉をこんこん、と叩くと相手が確認出来たか窺うように少しだけ間を置いてからシャワーに手を掛けて。)

気を使って早く上がる必要は無い、ゆっくり入れ。
(扉を叩く音を聴くと共に上記を伝えて研究室へと足を運んだ。何に使ったかは覚えてないが手頃な紐とｸﾛｰｾﾞｯﾄから己の服を出す、本当に服には興味が無い為質素な物しか無い。入る多額の金は全て薬の研究に使ってしまうのはやはり駄目だな、そんな反省をしつつ研究室を出て脱衣所に入り洗濯機の上に服を置いて其所を出た。脱衣所の扉の前に凭れかかり乍目を閉じると眠気が襲ってくる。最近この復讐の事に頭がいっぱいで寝る暇が無かったからだろう、出てくる欠伸を噛み殺し軽く頬を叩いた)

ーー…さっぱりした。早く着替え、しないと…。
(相手の言葉に甘えてか少しゆったりめに入浴をし相手の指示通りたま軽く扉をこんこん、と叩いて少々様子を見てからそっと浴室から上がると長い髪の毛をぎゅっと握り水を絞りながらどこか弾んだ声で呟き。新しい着替えが出されているのを確認すると先程制服の相田にしまい込んでいた下着を身に付けてからそれを一度広げてみて。女子高生と成人男性ではこうもサイズが変わるものなのか、などと少々可笑しなところに感心しながら馴れない様子でそれを身に付けると用意してもらった紐でズボンのウエストをぎゅっと締めて。標準であろう襟ぐりもこうもサイズが違うと少し気を緩めると肩が露出してしまいそうで、落ち着きなくそれを直しながらズボンの裾を数回折るとヘアピンと脱いだ制服一式をまとめて片手に携えて。もう片方の手では首に掛けたタオルでまだ大分湿り気の帯びた髪をぐしぐしと拭きながら遠慮がちに脱衣場の扉を数回ノックすると「…着替え、終わったよ。制服とか、一応まとめて持ったけど…洗濯機とかに入れちゃった方が良かった、かな？」と声を掛け。)
(/すみません、借りた服についての描写が見当たりませんでしたので勝手にTシャツ的なものと動きやすめなズボン、というような感じで進めさせて頂きました。勝手にこんな解釈をさせて頂いたのですが、大丈夫だったでしょうか？)

(ｺﾝｺﾝと鳴った音に出たかと反応すれば彼女の着替えを待った、女は風呂に時間がかかると思っていたが彼女の場合然程時間は掛けないようだ。否、気を使って早く出たのかもしれないが。＿＿ 彼女の着替えを待って数分、問い掛けられた言葉に返事を返す「 ｼｬﾂとか洗えるもんは入れておいてくれ 」制服はｸﾘｰﾆﾝｸﾞに出すもので洗濯機でｺﾞﾛｺﾞﾛ洗ってはいけないのじゃないかと前記を述べた。述べてすぐに 入るぞ、 と扉を開ければ風呂上がりの少女の姿。何だか己がｲｹﾅｲ事をしている気分でどうも落ち着かない、まぁ、ある意味ｲｹﾅｲ事をしているのだが。「 髪は乾かさない派か? 」 風呂に入り髪は濡れている、そのまま眠っては風邪を拗らすのでは無いかと問い掛けてみた。乾かさない派なのか、ﾄﾞﾗｲﾔｰを貸して貰えないと思っているのか、因みに俺は後者じゃ無いかと予想している。いや、忘れていると言う可能性も否定出来ないな。)


(おっと、説明不足で申し訳ありませんっ;;はい、そう解釈して頂いて結構です^^!)

…面倒臭いからいい、かな…髪の毛長いから、乾かしてるうちに首が暑くなって嫌なの。
(今乾かさなければ後々眠りにつく際髪が濡れたまま就寝することとなるためどうしようかと少し悩んだものの、相手の口振りから乾かさないという選択肢もあるらしくそちらが気にしないのならばとふるふると小さく首を振り。長い髪をふたつに分けその両方の端の方をぎゅっと握りながら乾かさぬ理由を軽く説明すると、最後にさらりと背中に髪を流して。その後相手の指示通り洗濯が可能なキャミソールや靴下、ポケットに入っていたハンカチ等を洗濯機に入れると、そこでふと思い立ったようにTシャツの前を軽く摘まみながらすんすんと自身の匂いを嗅いで。普段と違うシャンプーのせいで匂いが変わったのが気になったのか「…当たり前だけど、シンお兄さんとおんなじ匂いする、ね。なんかイケナイことされた気分…まあ、実際ある意味"イケナイこと"されてるんだけど。」などと、何とも悲しい偶然か相手と同じように感じなくても良かったのに感じてしまった余計な感想をすました顔でぽつりとこぼして。)

.. へぇ、そうか。
(己の勘は2択だったのにも関わらず大いに外れた、乾かさない派の彼女に軽く相槌を打てば嫌がってでも部屋で髪を乾かしてやろうと決意。風邪を引かれては正直困る、病院には連れていけないからな。まぁ、風邪薬くらいなら此方で造る事も可能だが。＿そして洗濯可能な物を洗濯機に入れていく彼女を見据えていると彼女はすました顔でとんでもない言葉を口にした。思わず間を空けてしまう「 ＿＿.....煩ぇよ、阿呆。 」 己もつい先程同じ事を思った、しかしそれは思っていても口にしないべきだと顔をひきつらせ彼女の額に軽くﾃﾞｺﾋﾟﾝ。「 行くぞ、阿呆の子 」 ﾃﾞｺﾋﾟﾝした後すぐにまたﾈｸﾀｲで視界を奪い抱き上げた、勿論その際ﾄﾞﾗｲﾔｰも手に取る。因みに言うまでもないが俺はﾛﾘｺﾝでは無い。)

ッ、いた！…阿呆の子って…わたし、そんなに阿呆じゃない、よ…。
(ちょっとしたからかいも含めて放った言葉が原因か額に走った小さな痛みにその痛みそのものより驚きが大きくて声をあげ。額を両手で押さえていればてきぱきと移動の準備を進められ、抱き上げられるころにはこちらも額から手を放していて。しかしほんの冗談を言ったつもりが阿呆呼ばわりされるとは何だか不服で小さな声ながらその不満を訴えると行き同様相手の肩に軽く掴まりながら、見えていないためあまり意味はないのだが気持ち的な問題で相手から顔を逸らし。誘拐犯にこんなことを言うのは得策ではないと分かってはいるもののある程度の安全が保証されていること、それと何より"阿呆の子"呼ばわりが余程不服だったのかぼそぼそとした声で「…ろりこん。」などと呟くと顔を逸らしたまま不満げに唇を尖らせて。)

＿＿ ﾛﾘｺﾝ !?
(彼女は阿呆の子と言われた事に対し大層不満げだった。まぁ、だからといって己が彼女の機嫌を取るのも何か違う気がしてそのまま運ぶ。そして突然呟かれた言葉に驚きの余り声を上げてしまった、危ない、もう少しでﾄﾞﾗｲﾔｰを落とす所だった。とりあえず冷静になれ俺 「 ....俺がいつﾛﾘｺﾝ紛いの事をした? 」 彼女からは見えないだろうが思いっきり顔をﾋｸﾘとひきつらせて前記。驚いて立ち止まった足を進め器用に扉を開けては抱き上げた彼女をﾍﾞｯﾄﾞへと降ろした。確かに端から見ればﾛﾘｺﾝと言われても仕方の無い事をしているかも知れない、しかし思い出せ。俺は復讐の為に彼女を誘拐した訳で、個人的趣味で誘拐している訳ではない。そこの所区別をしてもらわないとﾊｯｷﾘ言ってかなり困る、何度も諄いが俺はﾛﾘｺﾝでは無い、断じて違う。ﾓﾔﾓﾔを振り払うようにﾄﾞﾗｲﾔｰのｺﾝｾﾝﾄを繋げば温い風を未だﾈｸﾀｲで視界を奪われてる彼女に向けた。けしてﾛﾘｺﾝと言われたから意地悪をしている訳ではない「 ＿＿...後ろ向け 」今のはただ髪を乾かそうと言うそれだけの行為だ)

ーー…女の子に下着の話させて、自分の服着させて…抱っこもした、よね…？
(大層な動揺ぶりから恐らく相手も薄々そのように見られても可笑しくないという自覚はあったのだろう、そうして相手に一矢報いることが出来たことで少しは気が晴れたのか拗ねていた表情も何時ものような無表情に戻り。部屋につきベッドに乗せられた後の相手の指示に無言のまま従いぺたりと座り込んだ俗にいう女の子座りで相手に背を向けると、目隠しをとってもらえるのを待ち。しかしいつまで経っても外されないそれが相手の小さな反撃だと認識すると、階段の最中にされた質問に対する答えをつらつらと並べ始めて。実際そこまで相手をロリコン犯罪者のように見ていたわけではないが、自分はそうでも他人から見れば正直その手の犯罪者に当てはまる行動だろう。そういった一部始終を抜粋すると「…今だって、目隠ししたお風呂上がり女の子をベッドに座らせてるでしょ。…ネクタイで目隠しとか、シンお兄さんてちょっと変態臭いよね。」などと続け。中々の饒舌で語り終えるとさすがに喋りすぎたか、と後になって心配になってきたのかずろんと長いTシャツの裾をぎゅっと握りしめながら静かに相手の出方をみて。)

＿＿ 御前 っ
(下着の話は己も少しまずいとは思った、しかしそれは己なりの優しさのつもりだったのだが彼女にとっては全て裏目に出ていたらしい。まさかこんなにも反論されるとは彼女の性格から考えて想定外だった。抱き上げたのは彼女が目隠しされたまま歩くのは辛いと考えた結果の行動、ﾍﾞｯﾄﾞに座らせたのはｸｯｼｮﾝも何もないﾌﾛｰﾘﾝｸﾞに突然下ろされるのは痛いのではないかと考えた結果の行動、ﾈｸﾀｲの件に至ってはただ視界を奪う物がｺﾚしか無かったと言う訳なのだが、己は少し彼女に対して気を使いすぎたのかもしれない。有り難迷惑って奴か。小さく自嘲するように笑えば仕方ないとﾄﾞﾗｲﾔｰを切り 「 よく分かった、今から俺は御前に指1本触れない事にしよう。 」 前記を言い終わると同時に部屋を出た。とりあえずﾈｸﾀｲが不満ならｱｲﾏｽｸでも探そうかと。悪いが、部屋を移動する際は必ず視界を奪わなければならない、これは変態呼ばわりされても譲れない。＿＿ｱｲﾏｽｸなら確かあったような無かったような、と言う曖昧な記憶を辿り研究室とは別にある殺風景な己の部屋に足を進めた)

ッ、あ…。
(先程までの言い合いとは違い冷たい印象の強い言葉を耳にすれば直感的に相手を怒らせてしまったと察し。当然であろう、誘拐しただけのむしろ憎いくらいの少女に気を遣ってやったのにこれだけ変態扱いされれば誰しも怒りを覚えるもの。自分から離れ部屋を後にした相手を咄嗟に呼び止めようと手をさ迷わせるものの目隠しのままでは相手はおろかこの部屋の扉が何処にあるかすら分からず。こんな風に相手を怒らせたかった訳ではなく、ただ誘拐犯だとしても今までいなかった自分に媚を売ることも妬み事を囁くこともしない相手の存在が何だか嬉しくて初めてといっていいほど気遣いなくずけずけと物をいってしまった。それが招いたこの状況に薬で眠らされ拐われようが手錠で拘束されていようが今まで何ともなかったというのに、急につんと鼻の奥が痛む感覚を覚えると一人きりになった部屋で奥歯をきつく噛み締めながら首をもたげ項垂れて。)