楠木サン 2013-07-05 07:29:48 |
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全ての授業が終わりチャイムが鳴った.
私は帰宅部なのでそのまま家に直行.
かと言って何かしたいものと言えば宿題と読書のみ,
帰っても誰も居ないので静かな一時を送れる...
「お!ナヤハル帰宅部?じゃあ一緒に帰らない?」
そこにきたのはまたもやあの播馬.と,隣にいるのは...咲鐘?
「あ,あの...もしよければ私も...」
顔を赤らめられても返事の仕様がない.仕方なく一緒に帰る事にした.
「そういえば,今日の喧嘩は凄かったなー,女って怖いな!」
喧嘩原因は貴方なのに,平然とした顔で言わないで欲しい.
そう暗い雰囲気を醸し出している私に咲鐘が窺う.
「あ,気分悪いですか?あ,こ,コレ...」
鞄をゴソゴソすれば出してきたのはスポーツドリンクだった.
無言で見つめる私に少し怯んだのか
「...入りません..か?」
と弱気になった.
いらない,という訳でもないのだが友達でもない人から物をもらうのは自分的にもモヤモヤする.
そんな時,隣にいた播馬がほほ笑んで言った.
「お前,今,咲鐘が友達じゃないからもらわないんだろ?咲鐘はナヤハルと友達になりたいんだって.じゃあ,いつ友達になるの?今でしょ!」
寒い変な事を言われ眉間にしわがよる私,吹き出しそうになる咲鐘.そして失敗したというような顔をする播馬.沈黙が数秒続いた後,ついに私はフフと笑い声をあげた.
「「...わ,笑った!?」」
驚く咲鐘と播馬.なぜか知らないけれど私は今,自然と笑った.
いつも笑わない,この私が...
「ホラ,僕等はもう友達だっ!」
そういって私と咲鐘の手を取る.二人の手は温かかった.
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