御影 2013-06-23 09:09:38 |
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女は俺が拾い集めた本を受け取ると小さく笑みを浮かべた。本人も気づかない程わかりづらいものだったけど。
??「あ、りが、と…」
小さな声だったがお礼を言う女に悪い気はしなかった。
あの写真を見つけるまでは。
ふと女の側に落ちている写真を見つけ、拾い上げると見知った顔が。そう、俺と俺の両親だ。
俺は純粋な笑みを浮かべ、ダブルピースをしていた。親父とお袋は優しげな笑みを浮かべて俺を見守っていて…懐かしくて涙が滲みそうだった。
でも此、何処で見つけたんだ?
誓「此…何処で?」
そう思って俺は女に問い掛ける。
??「へ?」
女は不思議そうな表情を浮かべて首を傾げる。俺はそれにイライラして冷たい口調でもう一度問い掛けた。
誓「此何処で見つけたの?」
女は言葉に詰まっていた。多分、俺の雰囲気が変わったからだろう。
誓「答えて?」
もう一度問い掛けると女は小さな小さな声で言った。
??「…図書室の本に挟まってて…」
その言葉に俺は確信した。此奴は何も悪く無いと。
誓「ごめん」
俺は勘違いした事が恥ずかしく、一言謝ると足早に昇降口に向かった。
後でもう一度謝ろう、そう己に誓って。
‐誓side‐
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