リンリ 2013-06-15 20:30:14 |
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ーーザァァァァァァーー
一層雨が激しく降りだす。
地面のコンクリートは真っ黒に染まっていた。
目の前には沢山の人が早足で通りすぎてゆく。
傘持っている人は本当に少ない。
視界には嫌でも入ってくる柚季と女の人。
「・・・。」
唐馬も黙って私の眺めている方をじっと見ていた。
私達はずっと立ち止まって柚季と女の人を眺めいる。
グイッッッ!
しばらくして唐馬は強引に私を引っ張り早足で歩いていく。
「・・・イヤッ待ってっ唐馬っ!!」
私は必死に抵抗するが男の力には到底敵わない。
そしてあっという間に柚季達がいるところまで来てしまった。
「・・・なんで朱音がここにいるんだ?」
柚季は目を見開いて相当驚いている。
自分でも思う。
なんでこんな冷静なんだろう・・・?
頭ではなんで女の人といるの?
そう聞きたいのに聞けない。
・・・ううん。聞きたくなかった。
本当の事知りたくなかった。
ただただ立ち尽くすことしか出来ない私。
惨めだなぁ・・・。
自分にも嫌気が刺す。
もし、こんな綺麗な女の人だったら
堂々と『彼女です』って言えたのかなぁ?
こんなこと考えても無駄って分かってる・・・。
だけどそうでもしなきゃ心が死んでしまいそうだった。
「柚季お前こそなにやって・・・」
唐馬が柚季を睨み付ける。
「・・・いや・・・。」
口ごもって何も言わない柚季。
否定も肯定もしない曖昧な返事。
「言えないことなんだ・・・?」
「・・・朱音?」
「・・・え?」
もう私無理だよ・・・。
バシャッバシャッ・・・。
私はその場から逃げるように走り出した。
走るたび無数の雨粒が跳び跳ねて靴下に染みをつくる。
今の私にはどうでもいい。
ただ、ただ、がむしゃらに走ってた。
そう、前を見ず、ひたすらーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
気づいたときにはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
え・・・・?
私の目の前には大きなトラックがあった。
「きゃああああああー!!!」
「危ないっ!!!」
あぁ私・・・死ぬんだ・・・。
私は諦めて目を静かに閉じた。
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