リンリ 2013-06-15 20:30:14 |
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「・ゆ・・ずき?」
私は掠れた声で何度も繰り返す。
「・・・柚季?」
「・・・朱音。」
柚季は私の頬を大きな手で包む。
私が大好きだった優しい笑顔で。
私はすぐさまナースコールを押す。
「108号室の柚季が目を覚ましましたっ!」
「本当ですか!?すぐ向かいます!」
看護師さんも激しく驚いているのが伝わってくる。
「朱音・・・。」
柚季が私の名前を呼ぶだけで泣きそうになる。
「生きてる・・・?」
「・・・俺生きてるよな?」
柚季は何度も私の顔を見て確認する。
「いっ・・・生きてるよ。」
柚季は今生きてる。
私達は二人強く抱き合った。
何も言わずただ同じ時を過ごした。
夢じゃない。
生きてる。
私はまた涙を流した。
でも今までとは違う。
柚季が目を覚ましてくれて喜んだ涙。
私達にはもうわずかな時間しか残されていない。
嬉しいのと、時間が減っていくのを身で痛いほど感じるんだ。
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