リンリ 2013-06-15 20:30:14 |
通報 |
ガコンッ!
「紅茶でいいかしら?」
「あっはい。でもお金・・・。」
「いいのよ。気にしないで。私がつれだしたんだから。」
そうニッコリと微笑むさやかさんは大人の余裕っていうか・・・
とにかく誰もが憧れる女の人だ。
私は動揺を隠すため紅茶を飲みこむ。
冷たいまろやかな味が口一杯に広がる。
私達は待ち合い室の自動販売機前のソファーに腰かける。
「でもさっき言ってた誤解って・・・?」
私は控えめがちに聞く。
この空気なのか、綺麗な人がいるのか分からないけど酷く緊張する。
「私は実は柚季くんのいとこなの。私は5つ年上。」
い・・・とこ?
でも言われてみたら、柚季の落ち着いた
大人っぽい雰囲気が似てるかも。
すると、さやかさんは話を続ける。
「あなたの思ってるような事は何もないの。
ただ、買い物してただけなの。」
さやかさんの様子と人柄から嘘はついていないと思う。
・・・けど。
「・・・柚季照れながら幸せそうに笑ってました・・・。
きっとさやかさんの事が・・・。」
“好きだと思います。”
そう言おうとしたのに言えなかった。
・・・言いたくなかった。
私はぎゅっと、スカートの裾を皺になるぐらい強く握り締めた。
「・・・あなたたちってお互い相手を強く思いあってるのね。」
クスッと優しく微笑んださやかさん。
「えっ?どういうことなんですか?」
「・・・朱音ちゃんもうすぐ誕生日だよね?」
え・・・?あっ!
忘れてた。ずっと悩んでたから・・・。
「それでね?柚季くん私のとこに来て
『彼女の誕プレ選ぶの手伝ってくれ』って言ったの。」
「・・・えっ?」
私は驚きを隠せない。
だって去年の誕生日の時は『忘れてた』って言ったんだよ?
なのに・・・。
「私が『大好きなのね。』ってちゃかしたら・・・
『俺にはもったいないくらいの奴なんだ。』
って、言って嬉しそうに笑ったの。」
そして、
「デレデレしてたわよ。」
と、すぐさま付け足すさやかさん。
あはは、なんか思ってたキャラとちがうかも・・。
と思ってたらさやかさんがニコリと笑いながら聞いてくる。
「誤解は解けた?」
「あっ!すいません。学校で噂になってて・・・疑ってごめんなさい。」
私はペコリとおじきをする。
「そうそう、あとね・・・」
「?」
何だろう?と思いながらも耳を傾ける。
「なんか柚季くんね、ある男の子にヤキモチ焼いてたみたいよ。」
・・・ヤキモチ?
ある・・・男の子?
もしかして・・・唐馬?
しゃべるたびヤキモチ焼いてたの?
「うっっ。・・」
ポタポタと床に涙がこぼれ落ちる。
何で気づかなかったんだろう。
一人勝手に悩んで、疑って・・・
柚季はこんなにも私を思ってくれてたのに。
私・・・バカだ・・・。
そう思っても遅いのに・・・。
トピック検索 |