リンリ 2013-06-15 20:30:14 |
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4.命の行方
あれから誰かが救急車呼び、柚季はすぐさま近くの病院へ運ばれた。
私は放心状態で、唐馬も動揺しながらもタクシーで病院へ向かった。
女の人は私達の代わりに事情を説明するため救急車に乗り込んだ。
私達は気が動転してるためまともに受け答えする事が出来ないから
気を使ってくれたんだろう。
本当に優しくて・・・憧れる大人の女性だ。
病院に向かう途中、唐馬は何も言わず私の背中をさすってくれた。
きっと唐馬がいなかったら私はどうなっていたのだろう。
きっと、ずっとあの場で泣き続けていたかもしれない。
そんなことを考えていたらあっという間についてしまった。
私達2人で無言で柚季の元へ向かう。
・・・もう柚季は助からないかも知れない。
そう思うとまた涙が浮かんでくる。
しかしこれ以上唐馬に迷惑はかけれないから
私は痛いほど唇を噛み締めた。
病院は怖いほど静かで人は全く居なかった。
はりつめた空気とツンとした薬の匂いに気分が悪くなる。
ずっと続く白い長い廊下。
普通でもかなり長く感じるのだろうけど
今はより長く感じる。
一秒でも早く会いたい。
けれど、もし・・・なんて最悪の事態も考えてしまう。
それに私のせいでこんなことになったのだから
無事だとしても会わせる顔がない。
そしてついたのは集中治療室。
赤いランプが付いていて今柚季は中にいる。
私はただ、近くのソファーに座り無事を祈る事しか出来なかった。
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