私は、腕につけている時計に目を落とす。 時計の針は20時過ぎを指している。 私は、顔に張りついた髪を指でかきあげた。 バッグから、タバコの箱を取り出すと、一本くわえて火を点けた。 その小さな炎ですら、顔を燃やしてしまうほどに熱く感じる。 大きく息を吸い込み、ゆっくりと煙を吐き出す。 口の中に冷たい感覚が広がっていく。