Sek_Seed 2013-03-14 18:22:22 |
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竜の遺伝子
第14話?
血のような真紅に染まる炎、全てを薙ぎ払う雷閃、血さえも黒く染める漆黒の斬撃
この状況で、仁がジンオウガの遺伝子を持っているのは、分かった。だが、なぜ今。今までその予兆すらなかった。本来、能力が覚醒する際にはその予兆が見られるはず。ごく普通に生活して狩りを行って。この4か月近くの間にそんなもの一切見られなかった。
その、当の本人は覚醒した力を放ちながら、ラオシャンロンに傷を付けつづけた。気のせいか、ラオシャンロンの動きが鈍くなっている。その証拠に先程から、今までに比べると小さくなっている歩幅が俺達に教えてくれる。
賭けるなら今だった。本来であれば、1日に1回をフルで使用し続けるの正直辛かった。でも、町が破壊され、人々が死んでいくより辛い思いはない。ましてや、大切な仲間―――紅や仁、キングの為―――にも、負けては居られなかった。その思いのおかげで俺は2回、能力を使うことができた。
だったら今も。今は右足付近を攻撃している俺達のちょうど向こう側にいる紅も、能力を使い目にもとまらぬ早出斬りかかっている。隣に仁も先程覚醒した力で戦っている。
じゃあ、俺は?2度も使ったからと言い分けをして、ゆっくりとした斬撃を放ってるだけ?
ふざけるなよ!なんで、俺の周りはこんなにも能力を使って戦っているというのに、俺だけこんなんでいいのかよ!
だから、だから。もう一度だけ、俺に力を貸してくれよ!リオレウス!!!
それから先のことはよく覚えていなかった。
唯一覚えていたのは、仁の放つ金色の雨。紅の神速の斬撃。そして俺のかすらわからぬ、強大な炎。
あの『血のような真紅に染まる炎』『全てを薙ぎ払う雷閃』『血さえも黒く染める漆黒の斬撃』この三つの光景は永遠に忘れられない。それは、覚えていた。何故なら、この三つの光景は良い意味でも悪い意味でも伝えられるからだった。仮に、俺が炎の悪魔とでも呼ばれてしまえば終わりだろう。
だから、このことだけは、深く脳に刻まれていた。
しかし、一つだけ解せないことがあった。うる覚えの記憶が指し示す一つの事柄。
そう、それは。
『あの時放った、炎はリオレウスの炎ではない』ということだ。
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