Sek_Seed 2013-03-14 18:22:22 |
通報 |
竜の遺伝子
第12話?
18,000
それは、唐突だった。山のように巨大な体。一歩踏み出す度に震える大地。
それが今、俺達、32人が撃退を目標に戦うモンスター。
そのモンスターの名前を俺達は知っている。
老山竜ラオシャンロン。
最初に上から援護するため待機していたらそこに現れたのが、このモンスターだった。
はじめは何かの冗談だと思っていた。が、しかし、これが夢ではなく現実だとわかった時、此処にいるハンター全員が恐怖や不安を抱いていただろう。
本当に撃退できるのだろうか。それ以前に生きて帰れるのか。
只々、不安と時間が積もり一方だった。
俺達も、援護はし続けた。ラオシャンロンの到達から10分遅れてやってきたバリスタ弾を使い、背中への攻撃を続けた。
しかし、一方にダメージを負ったような素振りを見せないラオシャンロンを見ると、誰しもがこの状況を投げ出したくなっていた。
|
|
|
あれから何分立ったのだろう。分からない。ただ唯一分かるのは、ラオシャンロンが最後の砦までやってきたこと。つまりはここで防ぎきれなかったら町は崩壊を迎えてしまう。そういうことだった。
だが、それが重荷になっている今、腕が鉛のように重かった。
キングは諦めずに何でも何でも腕を動かしていた。
俺のこの剣は羽のように軽いのに、繰り出される斬撃は火山から湧き出るマグマのように相手を焼き焦がすほどの火力を蓄えさせた武器だ。
それなのに、今では腕を上げるのに邪魔になるほど重く感じられた。
しかし、横にいるハンター、仁はその刀を振り続けていた。紅も、俺と同じように疲労が蓄積し本来、斬撃が見えなくなるほどにまで速いはずの刀捌きは、今では一撃一撃が見て取れるほどだった。
なのに、仁はキングと共に全力で刀を振り続けていた。
「ウオオオオオォォォ!!」
更に、この18,000秒―――5時間たった今、普段上げない咆哮を上げていた。
その咆哮を聞いたからどうかは分からない。だが、体に眠るリオレウスを再び起こし力を爆発させていた。
腕が軽く、刀は羽のように軽くなっていた。
12時間開けずに力を使うのは初めてだ。だから、正直に言えば不安だった。仮にここで暴走して、周りのハンターを襲っていたらこの作戦は無駄になってしまう。だから、使いたくなかった。だが、横にいる仁に負けてはいられない。その思いが体を動かしていた。
力を保って至られるのは、約30分前後。今、ちょうど力が切れるときだった。先の力で撃退まで持って行けるかと思っていたが、結局それは夢の中で終わった。
そして、身体から力が抜ける。これでリオレウスの力はもう使えない。
この、覚醒の事を知っていたキングは、俺のことを見たときに焦りの色が見えた。
アイツも流石に悟ったのだろう。もう無理なのだと。
そう、アイツが諦めかけた時だった。
いきなり、仁が輝きだしたのは。
トピック検索 |