Sek_Seed 2013-03-14 18:22:22 |
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竜の遺伝子
第17話
ジョーカー
コンコン。
家のドアがノックされている。しかし、昨晩の――――いや、忘れよ・・・。とにかく、あれのせいで眠れていなかった。正直、ギルドマスターだろうとなんだろうと寝ていたいのが事実だった。
が、そんなことを考えずに一人の女性が、俺の体を揺さぶる。
「レウスくん、お客さんだよ~」
―――俺がこうして、寝てるのもコイツのせいなのに・・・、まったく。
まあ、何れにせよ、紅に接客をさせるぐらいなら俺がした方がよっぽどましだと思い、立ち上がろうとする。つか、立ち上がる。よっこらしょと、たちあ・・・
「がれねぇよ!!!なんで、俺がハダカにされてんだよ!?」
「あ、レウスくん、起きた~?」
呑気に聞いてくる。勿論、ハダカになってる俺を見ながら。
「な、なんでお前、此処にいんだよ!?」
「? だってぇ、昨日の夜ぅ、レウスくんが寝かせてくれなくてぇ」
「なんで、そういう事ばっか覚えてくんだよ!お前は!」
俺が怒っていることに、疑問も何も持たず俺を見つめる。
「? 何怒ってるの?カルシウム足りてる?」
「少なくとも、毎日ケルビの肉ばっか食べてるお前よりはな!?」
「そっかぁ、じゃあ、怒ってはないんだね?」
「あったりめぇだろ!・・・・・・・・・・・・?」
上手すぎたね・・・完全に口車に乗せられたよ・・・
「と、とりあえず、客が来たんだったら、行かないとな」
そう言いながら、服を着―――
「れねぇよ!何で、ずっとこっち見てんだよ!?」
先程から、ずぅっと紅は俺のハダカを見てくる。
「ん?どうしたの?早く着替えたら?」
どうしてだろう。羞恥と怒りの二つしか頭にないのだが?
「あ、ひょっとして、私に着替えさせてほしい?」
紅は頬を軽く赤く染めながら近寄ってくる。ここは、俺は動揺―――というより、ある種の興奮―――しているのを、絶対にばれてはならない。
しかし、そんなことを気にする気配もなく紅は近寄ってきた。まあ、近寄るまではよかったさ。近寄るまではな!
「!!なんで、お前はそこで服を縫おうとするんだ!?」
目の前にいる紅は、今装備しているナルガ装備の首元にあるボタンに手をかける。ついで、外すとそのまま、脱ぎだそうとする。
「だって、レウスくん。自分だけ着替えるのが恥ずかしいんでしょ?だったら、私も一緒に着替えてあげる」
ニッコリと笑顔を浮かべる紅。どんよりと周囲の熱を奪いながら落ち込む俺。はたから見たら妙な画になっているだろう。
まあ、はたから見ただけなら羨ましいと思われる状況なのだろうが、いざこの状況に立つと、誰でも困惑するのは目に見えている。
・・・・・あ、そうだ。いい方法あるじゃん。
「紅、しばらくの間、呼吸止めててね?」
「え?何するの?もしかしてレウスくん・・・夜の続―――」
「―――きじゃないからな?とりあえず、止めて」
そういうと、紅も納得してくれた様子で口と鼻を塞いだ。・・・よし。
「・・・ほい」
と、軽く手をたたく。そうすると、大気が瞬時に焦げ、煙が上がる。だが、これだけでは精々、自分の顔を隠すのでやっとだろう。そこで、取り出すのは、これ。
「・・・ほいっと」
たまたま―――というより、こういった時のために置いておいた煙り玉を放る。すると、たちまち煙が上がり部屋に充満する。
すぐさま、服を2,3枚羽織って部屋を飛び出す。飛び出した瞬間、後ろから紅のナルガ装備の上着が飛んできたのは見ないことにする。
この家の構造は俺がよく知っている。今は2階にいる。だから、今は知っているこの通路を抜ければ階段がある。それを降りれば玄関は目の前だ。
「っとっりゃあ!!」
そして、階段から降り終わる直前、玄関までの距離を跳躍で一気に詰める。そして、颯爽とドアを開く。
「はい、どなたですか?」
と、いいながらドアを引く。すると、そこに立っているのは、先日のラオシャンロン戦で俺達を後半戦に入れてくれ、さらには共に戦い、踏みつぶされかけたキングを救いけがを負ったはずの男だった。
「じ、ジョーカーさん!?」
「ああ、そうさ」
確かにあの時、ジョーカーはラオシャンロンに完全ではないが踏まれている。医者からも今後も歩けるまでに回復するかどうかは分からないと、言われていた。
なのに、そこに彼は立っている。周りにはだれもいない。
「ど、どうしてここに!?」
驚きと感動が入り混じった声で問う。
「なぜって・・・そっか、お前ははまだ知らないのか・・・」
ジョーカーはそういうと、右手を掲げると、勢いよくその手を振りかざした。
すると、不思議なことに彼の後ろには、ナルガクルガらしきモンスターが佇んでいた。
―――――へ?
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