咲楽 2012-10-06 21:25:22 |
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「昨日の…なんだったのかな…」
翌朝目が覚めると真っ先にそう思った。昨日はいつの間にか眠りに落ちてしまったらしい。
「今日は班行動だねっ!!」
嬉しそうに話しかけてくる真美に私は
「そうだね」
と微笑んで答えた。今日も昨日同様で真美にいっちゃんを取られるかと思うと気が気ではなかった。
でも私は奪うわけにはいかない。そんなことできない…。
タクシーでの移動は楽しかった。
「樹と真美、昨日一日で近づいたよね」
紗那が話しかけてきたことに私は気づかなかった。
「うん…」
そんな曖昧な返事をしては彼を見つめた。
清水寺…
「京都といえばここだよね」
てっちゃんが一言。
確かに清水寺は京都らしい。
班員全員でまっっくらな場所にはいった。
なんか数珠伝っていくやつ…
紗那、私、てっちゃん、いっちゃん、真美の順番で入った。
私は暗いところが苦手だ。数珠があって後ろや前に友達がいることもわかってる。
でも怖かった。
やっと少し明るくなってきた。とわ言ってもそこは薄暗い明りしかついてなく、みんなの顔は見えない。
「さ…紗那?どこ…?」
居場所が分からなくなってオロオロしていた私の手にそっと触れたのがいっちゃんの手だった。
「大丈夫?いるよ?大丈夫だからね…」
その優しさにすがるように彼の手を握り返した。
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