メカクシ

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ヒビヤ  2012-08-22 00:19:39 
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まぁ・・・暇だったら・・・読んでよ・・・

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  • No.9 by ヒビヤ  2012-08-22 02:20:23 

■今ここにある『未来』

■8月16日 15:30 『実験都市』 キド

 何か凄いパニックに陥っても仕方がない状況だったとは想うのだ。
20分弱で逃げ出せなければ、『全員が爆死』していたのだから。
それなのに、何故か俺達には巫山戯合い、笑い合う余裕すらあったのだ。
 『研究施設』を抜け出すと同時に、背後で『爆発』が起き、
まるで映画のように前方に向かって『ダイブ』する。
爆発圏内が『研究施設』を覆うレベルで良かった……
『しかし、彼らは結局爆死した』では、笑い話にもならない。
 『ダイブ』の際、トガに背負われていたコノハが転げ落ちる。
まず、コイツが格好の標的にされるに違いない。

「あー! 本当に脱出出来た! 夢みたい!」
 Cが朗らかに叫ぶ。
「これは確かな『現実』ですよ……」
 若干暗い声でヒヨリが言い、
「ゴメンゴメン!」
 と終わらない『悪夢』を見てきた彼女にCが謝っている。
「それにしても、コノハ、体力なさ過ぎよ!」
 エネが突っ込みを入れる。
そう……コノハは脱出の最中で体力が尽き『もう走れない……歩けない……』だのと
遠足に疲れた小学生のような事を宣うので、仕方なくトガに背負って走ってもらう事にした。
「うう……済まない。元来、私は運動が苦手で、凄まじい運動音痴なんだ……」
「あれだけ格好良く人を救ったのにな。俺の中の『格好良いコノハ』を返せよ運痴」
 ヒビヤがコノハに突っ掛かっている。
「いや……そもそも、何で俺がコノハを背負う事になってんだよ……
明らかに『頭脳労働』タイプの俺は体力がないのが明らか、
っていうか、ジャンとか、カノとか、キドとか、適任が他にいただろうに……」
「俺を含めるな」
「だって、『メカクシ団』で一番『体力』あるのって正直団長だろ?」
「女の俺に、男性のコノハを背負えと言うのか……」
「こういう時だけカワイコぶらないで下さい!
 お願いします、団長。というか、何で俺が背負わされたんだよ、結局」
「端的に言うと」
「言うと?」
「『お前には見えないだろうが……俺には既に答えが視えた』という台詞がまあウザすぎたな……
厨二病過ぎて。何かそれでムカついたからつい……」
「あれが理由か?! 正直すいません! 忘れてください団長!」

 丁度その時、『研究棟』に潜入していたレベッカとメカクシ団団員、
そして助けだされた『囚われの人造人間』達が、キドたちに合流する。
「流石です、団長! よくぞご無事で!」
 敬礼するレベッカに、
「まあ、そのアレだ。皆のお陰だよ今回は。掛け値なしにな」
 俺は感慨深く呟いた。
「俺が大活躍したお陰でもあるよね!」
「そんな訳があるか……!」
 カノの奴にヘッドロックをかましてやる。
 そんな時、目の前にエネと瓜二つの少女が立っていた。
「お前……もしかしてルナか……? 話には聞いていたが……これ程までとは……。
 おい、トガ! エネを持ってきてやれ! ルナがいたぞ!」
 トガが掲げたスマートフォンの画面越しに、『相似形の少女二人』はきょとんとした顔を浮かべる。
「え、エネよね……何で電脳体のアバターが私に姿とそっくりになっているの?!」
「いやまあ、『自分に対して人生で積み上げてきたイメージ』よりも、
『あの一瞬のルナの表情』の方が印象深かったというか……」
 驚きの表情から一転、ルナは厭らしい表情を浮かべる。
「へえ……。一瞬でそんなに『私の姿形』に『恋』をしてくれちゃうとは……」
 エネにも勿論それが悪ふざけだと分かっていたが、突然の『百合疑惑』に困惑を隠せない。
「え、ええっ?! そんなんじゃないってルナ……
まあ凄く綺麗だったけど……もっと『純粋』な感じの気持ちで……」
「へえ、プラトニックな愛がエネのお好みか……(ますますレズっぽいんだけどな、それ)」
 ぼそりと呟かれた意地悪な言葉に、
あれだけ頼もしかった『電子体』エネは為す術もなく『赤面』した。
「ベースに戻ってから二人の馴れ初めも聞いてみたい所だな……
昨日は忙しくてそれどころじゃなかったし……」
 沸き上がる語り合いは、今もとどまる事を知らない。
『おいおい、ここはまだ実験都市の中なんだぞ……』と想いつつ、
さっきまで会話に参加していた俺も他人の事は言えない。
「おい! 皆! そろそろベースに引き上げよう! 
このままだとルリが勘違いして泣くし、泣きだしたルリは超鬱陶しいぞ! 皆も知ってるだろ!」
 ルリをネタにした俺の号令に、皆が笑い、撤収が始まる。

 その場にいる誰もの顔に、笑顔が溢れている。
こんな日々が、『本部に撤収した後の日常』でも、ずっと続くと良い。
 それは、これまで何度も何度も『悲劇的な運命』に苦渋を舐めさせられてきた俺達が、
やっと手を伸ばす事の叶った、今ここにある『未来』そのものだった。

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