31世 2011-11-18 16:23:32 |
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リンネ ハチ
黒い山羊が呟いた 「白線よりお下がりよ 鈍色 (にびいろ)電車通り去って」
隣りで猫が問い掛けた 「アナタは 何処 (どこ)に向かうんだい
ここらも 直 (じき)に死んじまって」
赤の手首携えて 私一人 ふわり根無し草 錆びた水を飲み込んで 次の駅
またどうか どうか愛を 帰りの電車は何処にも無いわ
教えてダアリン ダアリン ねえダアリン 声が聞こえたような気がした
枯れた花は呟いた 「感情がない、感情がない、 心は 憂 (うれ)い夕を吐いて」
蝉の泣いて墜ちる頃 電線が裂いた赤の下
立入禁止 蹴っ飛ばして 猛 (たけ)り影がドロドロと零れ出す
「見えない」と泣いて泣いて 私の想いを探しているわ
教えてダアリン ダアリン ねえダアリン 鳴らぬ電話の命は何処へ
茹 (うだ)る茹る環状線 ここには無い ここに終点は無い
左 左 右で鳴る 踏切りの音 カンカラリンドウ
カラスは言う カラスは言う
「あの頃にはきっと戻れないぜ」 「君はもう大人になってしまった」
またどうか どうか愛を 終わらない輪廻を 千切っておくれ
さよならダアリン ダアリン ねえダアリン あの日私は大人になった
絶えず想う 二人一人 暮れ落ちた言葉は取り返せずに
さよならダアリン ダアリン ねえダアリン クルクル回る環状線を
「一人憐れに歩めや少女」
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