ブバルディア 2019-05-18 22:32:54 ID:cf2b77bae |
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「リリィさんのご友人でしたか。私はシルクと申します。射手座の力を持っております。ジェイクさん、よろしくお願いしますね。」
シルクもジェイクに自己紹介とお辞儀をしたが、
とたんに焦りだした。
「……はっ!あ、あの、リリィさん……。お姉さんがいらっしゃいますけれど、大丈夫でしょうか、このお話は……?」
「そ、そっか……。よかった。」
(ルイさん、警戒したように見えたけど、「敵ではありません。」と声をかけようとなさったのかも。人を観察するのが得意な方なのね。)
ほっとしたような顔をしてから、長い髪の少女に体を向けた。
「えっと、お姉さん、『星を操る力』をご存知でしょうか……?」
《……》
ジェイクは黙っていた。
元来、無口な性格らしい。
「【ジェイク】。…いや、違うかな。
今は【ジェイド】?」
《…大当たりぃ!今は【ジェイド】だよ!
早く何かと闘いたいんだけどー!》
ジェイク、否。【ジェイド】は人が
変わったように明るい口調で喋り始める。
シルクは長い髪の少女に話しかけようとしたが、
隣から何やら物騒な話が聞こえてきて、思わず目を伏せてしまった。
(戦いは恐ろしいのに、ジェイクさん……じゃないんだったわ。ジェイドさんは楽しそう。きっと何かあったのでしょうね……。)
「私はルカ。ルカ・モニムントよ。それよりさっき『星を操る力』って聞こえたんだけど、何か知ってるの?」
名を問われ、相変わらずの笑顔で答え、続いて『星を操る力』に対して追及する。
(/遅くなってしまい申し訳ありません!塾に行っていたものでして…以後気を付けます)
「それは、僕が答えるよ。僕もその力を
持ってるんだ。《天秤座~ライブラ~》の
力をね」
《俺はねぇ、《水瓶座~アクエリアス~》!
ジェイクの身体を守んのに必要なんだよなー》
「へぇ、二人とも『星を操る力』をもってるんだ。 私も持ってるって言ったら信じる?」
すんなり明かした二人を疑いながら、カマをかけてみる。
「……。」
正直すぎるシルクには、こういった腹の探り合いにも似た会話は不得意であった。
顔と目を伏せて、口角を上げたまま固まっている。
「………………」
リリィは、何処か含みのある微笑みを
湛えたまま黙り込んでいる。
《………》
ジェイドもまた、黙り込んだ。
「そっか、じゃあ大丈夫かな。私は《魚座?ピスケス?》の力を持ってるんだ。 それで、何をしてたの?」
自らも力を明かす。
入ったは良いものの、そもそも二人が何故ここで話していたのかがわからなかったので、首をかしげるようにして聞く。
「…特に何も?ねぇ、ルイ?」
リリィは本心の読めない笑みを浮かべる。
《ええ、そうですね》
ルイも相変わらずの一本調子な声で答える。
「ルカさん!ちょっとお待ちください!」
とっさに声をかけてしまった。
「その……ルカさんのお名前を聞いたのに、私ってば不心得にも自己紹介を忘れてしまいました。
自己紹介ついでに内緒話でもいかがですか。
きっと興味深いお話をしますよ。」
「興味深い話?」
声をかけられて動きが止まる。どうしようかと迷いもしたが、その「興味深い話」とやらが気になり、クルリと半回転してシルクの前まで歩み寄ると、優しい口調で言った。
「内緒話、聞かせて?」
「…ジェイド?そろそろ戻ってあげて
くれないかな。ジェイクが心配だから…」
《ん、りょーかいっ!》
ジェイドはおどけて敬礼をする。
次の瞬間、元のジェイクに戻っていた。
「では、忘れてしまった自己紹介から始めますね。私はシルクと申します。じつは私も《射手座~サジタリウス~》の力を持っております。」
微笑みつつ自己紹介を終えると、人差し指を口元まで運んだ。
「ルカさん、かなり慎みのない話ですから、どうか内密にしてくださいね……!その内緒話は我らがバルツァの国王についてです。」
シルクは内緒話と言ったが、実際は頼みごとも兼ねているので、リリィたちにも話を聞いてもらうことにした。
「あの、リリィさんたちも内緒話しませんか。」
「ん?いいよ」
リリィは、相変わらずの人の良さそうな笑みを
浮かべる。
《……………ああ》
ジェイクもこくりと頷く。
「お二人とも、ありがとうございます。
……あの……口下手なのはお許しくださいませ。興味深くなかったらすみません……。」
不安そうな顔をしながら、以下のように続けた。
「……王の弑逆を手伝ってはいただけませんか。
本日、偶然にも星座の力を持つ方々と会えました。
それが戦いに使用できる力なら、ぜひお力を貸していただきたいのです。
私はどんな怪我でも治すことを約束しましょう。」
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