少尉と誰かの部屋/〆

其れは…そうだね。良いか如何かは複雑だけど、お互い軍人らしくなったね。（ 士官学校と今では如何しても違いは出てくる。学校自体とは違い、今は一人一人階級が付いて回る。出世が早い人と遅い人、その差が明確に出て来てみんな出世を急ぐ。然も、任務に着けば嫌でも軍人だとい事実が分かり、何処か複雑そうに小さく笑みを浮かべ。）
分かってるってば。ハボックが書類仕事苦手なのは知ってるからさ。（ 同じ上司に付き、貴方が根っからの戦闘派だと言うことは分かっており大丈夫だと安心させる様に僅かにコクリと頷いてから笑みを零し。少し仕事が多く、定時には遅れてしまったものの待ち合わせ場所に行ってみても貴方の姿は見当たらずやっぱりとクスリ、笑みを見せ。何時貴方が来るか分からないため、戻って仕事をするのは危険と判断し、眠たそうにあくびを一つ零しながら仕方無いと諦めたように待ち合わせ場所にある椅子に座って貴方が来るのを待ち。待ち始め1時間程度が経過し、眠気故に微睡み、起きて待つつもりがそのまま眠りについて。）

…やっぱり、大分待たせちまったみたいだな…(流石に1時間は待たせ過ぎた。日頃の疲れもあって眠ってしまったのだろう相手を見て、申し訳無さそうにぽりぽりと頭を掻いて。待たせてしまったのだからしょうがないと思い、彼女が起きるまで隣に居ようと思って)
…っとに、可愛い顔してるよなぁ…(ポケットに入ったタバコの箱とライターを取り出し、吸い始めて。ちらっとまだ眠っている彼女を見ると、さっきも言ったように見た目は相変わらず可愛いままで。学生時代、友人に彼女の指導をすると言った時に羨ましがられたことを思い出しながらフッと笑みを浮かべて)
結局なーんも無かったけど…(多分そういう対象じゃないんだろう、なんて思いながら苦笑いを浮かべて)

んっ……んん…（ 久々に貴方に稽古を付けて貰った事も相まって久しく見ていなかった士官学校時代の夢路を辿り。そんな中、人の気配を感じ僅かばかりな身動ぎをし。何処と無く漂ってくる煙草の匂い、煙草の匂いなんてものは苦手なのだがこの匂いはそこまで苦手では無い。そんな事を考えていたら思考が徐々に浮上を始め、半ば夢の中様な感じだが目を覚まして貴方を捉え。）
…ハボック、先輩？（ 先程まで見ていた夢の影響か、つい学校時代の名残で先輩付けをし。然し、暫くもすれば夢うつつの状態から抜け出し、自分の失言を思い出しバッと立ち上がり。）
え、と、ごめんね！待たせちゃって。いつの間にか寝てた。さ、ご飯食べに行こっか！（ どうしようとあたふた戸惑いながらも失言には触れないように行こうと決め、多少ぎこちないが強引に話を進めようとし。）

……ぷっ…(起きて、寝惚けて、慌てて…忙しない彼女の動きに少し目を丸くして。しかし直ぐにプッと吹き出せばくっくっくと堪えるように笑って)
いや、いや…そういうとこも変わってねーな…はは、今はもう仕事も終わったしプライベートなんだから好きに呼んでくれて良いんだぜ？ジャンでもハボでも、さっきみたいにハボック先輩でも(緩い空気を漂わせながら、先程の発言を蒸し返す。少しからかいつつも、本当に呼び方は好きにしてほしいと思っていて)

うぅ…（ 今己でも思い出しても相当な失態を見せたと分かっているため、笑われるのは仕方ないと割り切ろうとはしている。だけど、其れでもそうバッサリ割り切れるものでもなく恥ずかしそうに小さく唸り声を発し。）
また変わってないって言う。…其処は触れないようにしたんだから流してくれたって良いのに。それに、いくらプライベートでもジャンなんて呼んだ事ないんだけど。（ じとりと、何処か恨めしげに貴方を見つめ。やられっぱなしって言うのは性に合わないため、どうやって揶揄し返そうか考え。いっそのこと、普段は絶対呼ばない様な名で貴方を呼ぼう、そうすれば多少は驚いた姿も見れるだろう、そう決めて「 ほら、早く行くよジャン先輩。」何てニヤついたように上がった口角で言葉を発し。）

うっ…ったく、生意気な…(相手のことを笑っていると、思わぬ反撃に少々驚いてしまって。可愛い顔してジャン先輩、なんて呼ばれたりしたらドキッと来ない訳がなくて。先輩呼びに、更に彼女の小悪魔的な笑みも相成って、非常に魅力的な攻撃を受けてしまえば頬を赤くして、ふいっと顔を逸らしてしまう)
…ま、呼びやすけりゃ何でもいいんだよ。今更互いに階級呼びも堅苦しいしな(話を元に戻して、兎に角呼び名は何でも良いと伝えておく。軍に入ってから出会った相手なら兎も角、士官学校以来の付き合いなのだ、妙な壁は作って欲しくないと思っていて)
んじゃまぁ、行きますか…(根本まで吸った吸殻を近くの灰皿に捨て立ち上がり。一緒に夜の街を歩いき、路地裏の人気の少ない場所までやって来ると立ち止まる。どうやら目的地に着いたようで、そこにはこじんまりとしていて、お世辞にも綺麗とは言い難い古い店だった)
…見た目はちょっとアレだけど、味は保証出来る。どう？(嫌なら別のところに、と思いながらと隣に居る彼女へ尋ねて)

生意気で結構。人の事揶揄うからいけないんですよ。（ 多少なりは反撃になっただろうと何処かしてやったりと嬉しそうに子供じみた幼げな笑みを零し。視線を逸らす貴方を不思議そうにじっと見つめ。）
まあ、そうだよねぇ。人前だと人目を気にして階級呼びはやむを得ないけど、こんなプライベートの場までそんな固い呼び方は嫌だ。急にウォーカーなんて呼んだら返事してあげない。（ 普段は愛称のアイリと呼んでくれる貴方、貴方にアイリと呼ばれるの好き。だけど他の人に変な勘繰りされるのは面倒なため、仕事中はウォーカー中尉と呼ばれる事に関して不服ではあるが納得しており。だが、プライベート時にウォーカーってなんて呼ばれるの嫌。拗ねた様な態度で若干頬を膨らしながら言葉を発し。）
うん、行こう。（ 己は道も、何処に行くかも知らないので迷子防止のため離れない様に横を歩き。あんまりこっちの方まで来ないため、辺りをキョロキョロと見渡しつつ貴方についていき。目当ての店についてそっと視線をぶつけ。）
もちろん、ここにしよう。頼んだのはこっちなんだから何処でも文句言わないよ。それに、味には自信あるんでしょう？（ 店の見た目から己に遠慮する貴方に首を振って大丈夫だと伝え。小首を傾げながらふふっと裏表のない素直な笑みを零して問い。）

勿論、かーなーりイケる。んじゃ入りますか(自分で選んでおいてなんだが、此の店は女の子と二人で食事するには些か雰囲気がないのだ。それでも気にせず楽しんでくれる…良い子だよなぁ、とおじさんのように染々思いながら店の中へと入っていって。店の雰囲気はどこか落ち着いていて、あまり客の姿は見えない。奥のテーブル席に座れば一先ず飲み物を注文して)
じゃ乾杯、今日もお疲れ様でしたー(やって来たグラスを片手に乾杯、そしてグッと飲む。ふぅーと息をついて今日の疲れを吐き出せば緩く笑みを浮かべて）
…そういやさー、学生の頃はアイリの浮いた話とかあんま聞かなかったんだよな。実際そう言うの無かったのか？(適当に雑談しながら酒が進んでいき、お互い其なりに酔ってきた頃、学生時代の話になって。そこからまた恋愛の話に変わっていって。そう言えば男子学生の中で結構人気のあった彼女のそう言う噂は聞かなかったな、と思い返しながら尋ねて)

ならそれで良し、楽しみだなぁ。（ 味はかなりいけるという事、貴方が言うのならば間違えは無いだろう。心底楽しみにになり、まるで歌う様に軽やかな声音で言葉を発し。貴方に一歩遅れ店内へ。若者らしいゴチャゴチャとした雰囲気では無く、寧ろ落ち着き払った店内。店のチョイスが何処か貴方らしいな、なんて思いながらクスリと小さく笑みを零し。人の少ない店内を見渡しながら貴方についていき、奥のテーブル席に。）
乾杯、お疲れ様でしたー。（ 注文した飲み物をグッと一口飲み、労うようにヘラリと威厳も何も無いそんな緩んだ笑みを浮かべ。）
…おー、今日は学生時代振り返るなぁ。んー、あんまりそういうの無かったよ。（ 貴方と話すのは楽しい、だからついつい酒が進んで行き。さして得意でもないため少し酔ってきた頃、突然振られた話に一度動きを止め。ふふふ、とゆるゆるになった表情筋で笑みを見せ。士官学校時代、気になった人は居たものの恋までの発展は無かったためそっと首を左右に振りながら答え。「 そう言うハボックはぁ？」格好良い上に腕が立つと後輩女子に人気を博してた貴方。そんな貴方の話が聞きたくて小首を傾げながら問いをぶつけ。）

へぇ、意外だな…ああ、俺？俺はなぁ…基本的に玉砕だらけだったな…(曰く、ボイン好きという好みの問題もあってか、同級生及び下級生に興味はなく、専ら年上の人にアタックしてはフラれて…を繰り返していたらしい)
って訳で、結局学業が芳しくない影響で忙しくなっていったのもあってさ、学生時代に彼女は出来なかったな。まぁ今も出来ては仕事が忙しいせいで別れてばっかって感じだから…大佐が羨ましい、俺ももっと女の子と遊びてえー…(大分酔いが回って愚痴っぽいというか本音が駄々漏れ状態になってきて←)

そうかなぁ？ていうか、ハボックは私のことなんだと思ってたのさ。…でもまあ、ハボックの玉砕だらけなのはちょっと想像付く。（ 自身の色恋沙汰とは無縁である為友人の話は聞くもののそのような話を振られる事は少なく、意外だと言われて仕舞えば変なのとでも言うようにクスリとして見せ。後輩にも貴方の趣向は伝わっており、人気を博していたが付き合う所まで発展したと言う話は中々聞かない。だから、貴方が自分から行って振られるというのは案外簡単に脳裏に浮かび。）
でも…出来てはいるんだ。（ 同じ上司に仕える他の同僚から聞く事はあったが、本人から言われると何処かで寂しさが過ぎり。多分、彼女が出来ればこんな風に馬鹿な話しながらご飯を食べる機会が減るから寂しいのだと思うようにし。本音をポロポロ零す貴方を慰めように腕を伸ばして撫でようとしながら「 大佐を羨ましがるのは良いけど遊ぶのは程々に。」と言葉を紡ぎ。）

わぁーってるよ…俺、大佐ほど器用じゃねえし…(ぐでっと少し机に突っ伏しながら、自分は大佐のようにいかないと言って。人に仕事を押し付けてもしょうがないと思わせるところとか、実際女性の扱いだけでなく様々な面で大佐には敵わない。だからこそ憧れるし付いていきたいとも思えるのだ)
あ…けどアイリと付き合えばそんな文句も言われないな。同僚だし、仕事と私どっちが～とか言わないし(伸びてきた手を掴み、赤い顔を上げてジッとアイリを見つめながらそう言って。しかし直ぐ様ふっと笑えば、冗談だよと手を離して)

確かに、ハボックは器用じゃないけど不器用なりにもハボックは頑張ってるよ。そういうところ、大佐よりもカッコいい。書類仕事苦手なのに、サボリ魔の大佐とは違ってサボったりしない。（ 普段は格好良いという言葉の方が似合う貴方を思わず可愛いと思って、ふふっと笑みを浮かべ。励ます様に己の思い付いた貴方の良いところを嘘偽りなく並べていき。）
っ！（ 冗談だという事は分かっているつもり、其れでも学生時代に他の女子同様に貴方に憧れた身としては照れてしまうのも仕方ない。酒の力だけではなく赤に染まる頬を許して欲しい。離された手をそのまま貴方の頭に乗せてグッと力を掛け「 冗談でもそんな事は言わない。…私も付き合ったら面倒な事言うかもよ。」と出来るだけ平常心を保とうとして冗談めいた声音で言葉を発し。）

そーかぁ？けどこういう飯屋でも心よーく付き合ってくれたりとかさ…どこか自然っつーか、素直っつーか…ホントの意味で可愛いって思うけどな(作っていない、裏表のない素直さ。そういうところは凄く魅力的だと思っていて)
…マジで付き合う？正直俺、アイリとならやってけそうな気がする(顔を上げて、頭に掛けられた手を再び掴み、今度は少し引き寄せるようにして。ジッとアイリの顔を見つめて、今度は逸らさず笑わずに真剣な態度で)

っ…褒めて貰えるのは嬉しい。ハボックのご飯食べるの好きだし、ハボックが美味しいご飯屋さん知ってる事知ってるから。ハボックといるの楽しいならやっていけるかもしれないけど…（ 引き寄せられると僅かにバランスを崩してもう片手を机に付き。酒による酔いは今起きている事の大きさによって覚め、貴方の真剣な顔をじっと見つめ返せるほどの勇気はなく若干下を向きながら言葉を紡いでいき。）
其れでも…今彼女いないから、とりあえず私と付き合うつもりなら嫌だ。（ 覚悟を決めた様な真面目の顔でジッと貴方を見つめ返し。）

取り敢えず…ってのはねえな。真剣に付き合ってみたいと前から思ってたしよ…今日言ったのはちょっとお酒の力を借りたってところもあるけどな。まぁ少なくともお互い、嫌な感情は抱いてないだろうし…俺は、友達よりもうワンランク上の関係になりたい(言ったことは確かにお酒の力を借りてというか、流れに乗った風ではあるが。告白自体は以前から真剣に考えていたことで)
…将来のこととか、まだわかんねえけど…一緒が続いたら勿論そういうことも考えてるつもりだ(少し恥ずかしさが戻ってきたのか、頬を掻きながら)

…さっき、私に浮いた話を聞かないって言ったよね。実際その通りなんだけど、尊敬してた、憧れてた人はいたの。でも、恋には発展しなかった。なんて…ハボックにこんな事言ってるぐらいだから、その相手が誰かは想像ついたでしょ？（ 貴方が前から真剣に考えていた事を知ると少し口を籠らせながらぽつり、ぽつりと昔話するがごとく語っていき。恥ずかしそうにはにかんだような笑みを浮かべ。）
私自身、将来のことはよく分からないけどハボックと一緒に居れたら楽しく居られると思う。（ 赤く染まっていく頬を照れ臭そうに手でぽりぽりと掻き「 えっと、不束者ですが、宜しくお願いします。…ジャン。」何時までもハボックと呼び続けるのはどうかと思い少し大胆に名を呼び。）

…ああ、よろしくなアイリ(改まっての名前呼びに胸が熱くなってきて。酔いも覚めたはずなのに、未だに顔が熱く火照っている…彼女と恋人の関係になれたことが此処まで嬉しいことだとは。本気で好きになったんだな、と改めて思い)
此れからアイリが俺の恋人か…あ…自分より階級が上の彼女って考えるとちょっと複雑カモ…(階級は少尉と中尉の一つ差ではあるものの、年齢は二つ離れている。これは…男としてちょっとどうなんだろうという気がしてきて←)

…そうかな？ジャンは不器用だから出世とはちょっと縁遠いってだけ。その分私はそういうのが出来たってだけ。（ 階級は己の方が上で歳は己の方が下、自身の階級について深く考えたこともそれを鼻にかけることも無かったがやっぱりあなたにとっては気にするものなのかなと思い。然しやっぱり気にするようなことではないと思い大丈夫という風に言葉を紡いで行き。）
でも、私が彼女…（ 色恋沙汰には疎い生活を送って来たため誰かとちゃんと付き合うなんて事今までなかった。だからこそ彼女っていう響きが心に深く入り込んでこそばゆさを感じさせ、緩みきったしまらない表情を浮かべながら嬉しそうな声音でポツリ呟き。）

…にやけ過ぎだ(その緩みきった頬を指でつつきながらフフと笑って)
あ、家はどうする？一緒の仕事してんだし一緒に住むのも良いと思うんだけど…(気が早い話かもしれないが、付き合うとなれば同棲するのも良いと思いそう提案してみる。一軒家を買うお金は流石にないが、アパートやマンションで一緒の部屋に住めばより多く一緒の時間を共有出来るし、家賃も安く済むからその分二人のためにお金を使えると考えて)