用心棒の小娘 2024-10-05 18:32:43 |
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(折られた爪はシーツすら破けない、飼い主の皮膚に傷をつけることもない、広い檻の中で目の前の鍵が揺れるもどかしさにも目をつぶって、引かれる鎖の先に喉を鳴らす…飼い主の片目になった日から、光の下の自由は身を焦がすような恐怖を持って存在している。小袋が飼い主が放り出してしまえる程度の価値で、その程度の自由でも夢のある話だと笑えたとて現実は──その為だけに奪った命と最後の瞬間の手首に回った痛みと見開かれた目と指先に伝わる他人の脈は…悪夢みたいだ。向けられた背中に縋るように歩み寄る。この地獄に落としたのが飼い主だとしても今縋れる蜘蛛の糸もまた目の前の飼い主でしかない、依存でも何でもない単なる事実。こんな時でも許可なく飼い主に手を伸ばすことはせずに、背中に向かって言葉を残し)
…て、手を、武器じゃなくて、手を使ったのは久しぶりで、気が収まらなくて──怒らないで、ちゃんと始末してきたから、取ってこい、出来たから
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