『蚕繭』 2024-08-25 20:21:07 |
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(ヒヨコ、犬、タンポポ、桜貝。単調な声で指された紙に目を通せば確かに言われたものの絵が描かれていて。床に落ちてる紙を見ていればどうやら女子が好きそうなものばかりなようで。先ほどより小さくなった男から発せられた言葉はあの女が頼んだ絵の事のようで。どんな絵をご所望か、の答えは全て“可愛いもの”と返答したらしい。あまりの馬鹿さ加減に一周回って面白いと失笑してしまい。「ま、なんでも可愛い可愛いって言う馬鹿だから仕方ねェっちゃ仕方ねェけど。」男の口調は段々と強くなっていくのが手に取るように分かり、手元はなにやらぐちゃぐちゃした線が踊っていると思えば紙が見るも無惨な姿に。その様子を無表情で見ているも、面倒な奴が面倒なクライアントを抱えたもんだと小さじより少ない可哀想という感情を抱き。「あー、ちょっと待て。」特に協力や助ける義理はないが色々貰った手前なにかしてやるか、謎に上から目線の思考。インスタには何かあっただろうかとポケットから水色の大理石調のケースが付けられたスマホを取り出せば女のアカウントを開き。「こういうの。」と彼の前にスマホを差し出しては投稿を適当にスクロールして。そこにはアフタヌーンティーや映えを意識したカフェスイーツ、建物やらなんやらの所謂おしゃれな投稿が並んでいて。勿論盛れた自撮り、他撮りが過半数を占めているが。「どーゆうの描くつもり?てかまじで此処に住んでんの?1人で?」なんとなく思ったことを矢継ぎ早に尋ねながら視線はスマホへと注がれていて。)
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