東 2024-07-20 01:24:27 |
|
通報 |
(──最後に髪の毛を簡単なお団子にまとめて、ホカホカと湯気を漂わせながら浴場内の洗い場にある椅子から立ち上がる。さっぱりとメイクを落とし、雨のせいでベタついた髪も濡れた服のせいで冷えた身体も洗い終わると、気分までスッキリしてきた。たまにはいいな、こーいう雰囲気。ふうと一息吐いてから、周囲に飛んだ泡や使った椅子と洗面器をシャワーで軽く流して元あった位置に戻し、本格的に温まるためタオル等を手に湯船に向かう。)
?…………あー。
(私が湯船の端にある段差に足をかけた瞬間、それまで浸かっていた一人の客が入れ替わるように湯船から上がっていった。すれ違いざまにチラッと見えた顔、見覚えありすぎる気がしたんだけど誰だっけ。ぬくぬくと湯船に浸かりながら、ぼーっと考える。……あ。中学ん時同じグループだった友達だ。前に皆でボウリングした時にもはちあわせた③番こと、元カレの今カノ。向こうもスッピンだし、髪まとめてて雰囲気違ったから一瞬気付かなかったけど──どうりでそそくさと出ていくわけだ。その子が消えていった更衣室の方向を眺めながら納得した。
そんなに慌てて逃げなくても、こっちは気にしてないんだけどなぁ。てか、よく私ってすぐ気付いたな。目も合ってないし、こっちは全然気付かなかった。他の友達いなかったけど、彼氏と来てんのかな。ここ出た後、またバッタリ会ったらウケるかも。なんて、どうでもいい事を考えながら温まってたらゆっくりしすぎたかもしれない。そろそろ上がるか……私は湯船から出て、そのまま浴場を後にした。)
| トピック検索 |