東 2024-07-20 01:24:27 |
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(受け取った平の傘は、私のよりずっしり重い感じがした。なんかこう、平のやさしさとか幸せが詰まってるみたいな?お花畑全開の思考になってしまって、喜びを込めてぎゅっと傘を握りしめる。それから目的地に向かうため傘を開きながら、お礼を言おうと口を開きかけたその時──平の手元から何かが飛んできて、気付いた私は慌ててキャッチする。)
何こ……れ、……!
(傘さしてて片手が使いにくい。肩で傘を挟んで、手の中にある小さな袋っぽいそれをよく見……いや。よく見なくても、見覚えのありすぎるパッケージ。ちょうど裏側が見えてるそれを、まさかと思いながら中身が見えるようにひっくり返す。やっぱりそれは、私がなくしたのと全く同じクマのキーホルダーだった。うそ、なんで──ハッと勢いよく顔を上げて平の方を見てみる。なんか普通に水飲んでるし……何でもないみたいな顔しやがって。
でもこれ、色や模様まで私がなくしたのそのまんまなんだよなぁ。何種類かあったはずだから、偶然にしては出来すぎてるっていうか。てか平って、普段水とか飲んでたっけ?なんで──いや、なんでとか偶然かどうかとか、今私が言いたいのはそういうんじゃない。)
えへへ……さんきゅ。
(やばい嬉しすぎる。平とお揃いってだけでも朝から勝手に浮かれてたけど、今私が持ってるこれはそれどころじゃない。平がくれたもの……ふにゃふにゃと表情が緩みそうになるのもお構いなしに、待ちきれなくて早速開封していく。取り出したクマはさっき落としてしまった子より何倍も何十倍も可愛く見えて、単純すぎか……と自分でも思うけど、ついデレデレと眺めてしまう。背負っているカバンを体の前に回してきて──傘持ったままだと、ちょっとやりにくいかも──多少もたつきながらも、カバンのチャックにクマを付けてあげようとした。)
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