東 2024-07-20 01:24:27 |
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……!
(平に続いて出口まで進んだところで、ふいに差し出された手。その手を見下ろしたまま、私は呆気に取られ固まってしまった。え、なにこれ。えっ……嘘。マジ?ひゅっと息をのむ。
いやさすがに、掴んでいいよって意味なことくらいはわかる。エスコート的なやつ。でも私、今まで一度も平にこんなんされたことないんだけど。何なら元カレにもないかもしれん……あんま覚えてないや。大概みんなスタスタ歩いてくし、そっちが普通じゃん?子どもじゃあるまいし、よく考えなくても躓くことの方がレアだもんな。なのに急にどうした。しかも平が。嬉しいっちゃ嬉しいけど、驚くわ。これは素直に喜んでいいやつなのか。正直戸惑いが先にきた。今日、私にとって都合良すぎることばっか続きすぎてないか。もしや、さっき思いっきり平に向かって倒れ込んだから暗にこれ以上面倒事起こすなって言いたいのか……?まさか私、すぐ転ぶおばーちゃんだと思われてる?これって介護?一瞬そんなことも考えたけど、でも。)
お、おぅ……?
(よくわからんけど、やっぱり嬉しい。単に足元の段差が危ないからっていう言葉通りの意味だとしても、仮に私にとってはよろしくない他の意図があったとしても。それでも平が私に向けてくれたやさしさに、甘えていいなら甘えたい。手を取らない選択肢なんか、あるわけないじゃん。やばい、超ドキドキしてる。ほんとにいいの的な腑抜けた声が出たし、反応が遅れて何人かに抜かされてったけど。手汗をスカートで軽く拭って、ちょっとソワソワしながら平の手に私のそれを重ねた。)
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