東 2024-07-20 01:24:27 |
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お――……もう着くのか。なんか夢みてた気がするけど覚えてねぇ……。
(妹の顔がぼんやり浮かぶ。なんでだよ。アイツの夢とか……?
手のひらを向けてくる東に首を軽く振って応える。変な寝方をしたからか腕に重たい感触が残っている。それでも、短時間でも意識を遮断できた事で気分はある程度リセットされていた。肺に燻っていた溜まった酸素を深呼吸で吐き出して目元を擦る。目ヤニとかなかったのは幸いだ。車内アナウンスをぼんやりと聞きながら俺は昨日の暗記箇所を反芻していた。今の時期、起きた時には癖で必ずやってしまうこと。なんせ寝るとすぐ忘れちまいそうだろ。起きた時にちゃんと記憶してるのか自信なくてつい確認しちまうんだよなぁ……。
そんな事をやっていたらいつの間にか降りる駅に到着していたことを、東からの肘打ちで気付かされる。こいつわりと攻撃してくるとこあるよな……この間なんか北斗○拳されたし。またしても「いてっ」とか痛くもないのに反応しつつ促されるまま降車する。おっと暗記暗記……えーっとどこまで思い出せたんだっけか……。
)
――足、気をつけろよ……ほら手。
(降車するタイミングで車両と駅構内の溝をみる。いつみても怖ぇやつ。ガキの頃、これの隙間に足がハマるんじゃねーかってビビってたっけ。
そんな事を思い出したからなのか。それとも夢に出てきた妹のせいなのか。俺ははるか昔に妹にそうしていたように、後ろに向かって手を差し出していた。掴まれとばかりに。こともあろうに、東に向かって。)
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