東 2024-07-20 01:24:27 |
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……平?どっか痛──え。
(何その反応、大丈夫じゃなさそうなんだけど。なんか痛そうな声出てたし不穏な顔してるし、ここで返事がないと不安になるだろ。まあヒト一人分どころか私の荷物の重さまで一気に受け止めてるんだから、そりゃ重いよな。そんで打ち所が悪かったりしたら、こーゆーので骨折とかもあるのかな。私のせいってのもあるし、ハッキリしない平の様子にさすがに焦りが増してきて、オロオロと両手で謎のジェスチャーみたいなのしながら平の顔を覗き込もうとした。
気付けば完全に電車は止まりきっていて、平の返答を待ってる間にも周りの乗客たちがザワザワと騒いでいる。そんな事よりも平が心配でそっちにまで意識は向かなかったけど、勝手に耳に入ってくる断片的な情報によると線路上にでかい障害物があったとか何とか──あ、そうだ。隣のおっさん。ちょっと気まずそうじゃん。何か言わないとと思って口を開きかけたけど、いや待てよ。私が大丈夫でももし平が大丈夫じゃなかったら、一応近くの人に助けとか求めた方がいいんじゃ……だから、うんとかすんとか何か言えよ平。私とぶつかったくらいで、なんでそんな深刻そうな顔してんの。状況が違うとはいえ前とは反応が全然違うし、二度もぶつかった私に文句のひとつでも言いたくて不貞腐れてるのか?まさか本当にどっか怪我……なんてことをたぶん数秒のうちに考えながらちょっと困って平とおっさんを交互に眺めてたら、突然目の前のおっさんと私の間を遮るように平の腕が伸びてきた。え、今度は何。ピクッと反射で肩を跳ねさせながら、何してんだの意を込めて平を見上げた。)
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