東 2024-07-20 01:24:27 |
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……まぁな。正直あの頃は東の真意を測りかねてたし。
(地元の繋がりをリセットしたくて選んだ高校に元中の知り合いがいるなどと誰が予想するだろう。これがせめて縁もゆかりも無い相手ならまだしもクラスが一緒だった東ときた。
痩せて、髪を染めて、服を調べて。そうして創り上げたハリボテの俺がバレてしまえば全てを失うと思っていた。
……ヒトが離れていくのは本当に一瞬だと知っているから。
ほとんど無意識でつまみあげたポテトが油を吸ってしんなりと頭を垂れる。カリカリの方が好みだが口に運ぶとこれはこれでおいしい。)
いやなんでだよ。別にお礼をもらうような事はしてねーし……。そもそも『奢らしてくれない』って言葉の使い方おかしくね?
(ありがとうって礼をいってんのは俺の方なのになんで東がお礼しようとするんだ。つかさっきも思ったがこいつもこいつでなんか恩に感じてるってことか……?
さっぱりわからん。
俺は眉根を寄せて胡散臭そうに東をじっとみた。)
まあそりゃ行きてーけど……そもそも受験のこと忘れてね?
三月半ばくらいにならねーと俺は自由に動けねーぞ。
(自分で口に出して辟易とする事実。他の推薦組がなんとも憎たらしく思えてくる。早上がりされたスゴロクのように優雅に残りのプレイヤーどもの苦しむ様を見ていくわけだ……。
奇しくも谷に言った言葉がそのまま自分に返ってきている皮肉には笑うしかない。
俺は暫し東に視線を向けたままぼんやりと見つめた。ささくれだった気持ちが少しだけ穏やかになったような気がした。)
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