東 2024-07-20 01:24:27 |
|
通報 |
──あはは、なんそれ。
(平の口から紡がれる言葉の一つ一つが予想外で、ポテトフライを掴んだままぽかんとしてしまった。私、平を救ったなんて言えること何かしたっけとか。何度かお菓子分けたくらいしか思いつかないけどなとか。ありがとうなんて言われても、何に対してのお礼なのかいまいちピンとこなくて──そんなわけで反応が遅れてしまったけど、でも最後のそれだけは悲しい意味で予想通りだったから。
“友達でいてくれて”──とっくに知ってるけど、改めてハッキリと突きつけられた。平にとっての私はどこまでいっても“友人”で、お礼言われるってことはこれからも平はそれを望んでるってことだ。平に感謝されてる事実が嬉しいのに切なくて、泣きたいのか笑いたいのかわかんない気持ちのままくしゃりと頬を緩め、気を紛らわすように持っていたポテトフライを一気に口に含んだ。)
あ……。
(その時、さっきゴストのアプリを見ててテーブルの上に置きっぱなしだったスマホの画面がパッと光った。チラリと見てみると、よく暇潰しに遊んでるゲームからの通知。……そういや最近、平にゲームの招待全然送ってないな。前までは何も考えずにポンポン送ってたのに──自分の気持ちを自覚した途端、何度か送ろうとしたけどLINEの画面上で“平”って文字見るだけで変に意識しちゃって、気軽に送れなくなっちゃったんだよね……。自室で一人モジモジしてるその時の私の様子を思い出すだけで、また顔赤くなってそうでやばい。恥ずくなってきた。
そんな私の本心は、平の望むそれとは真逆なんだろう。でも……平が“友人”であることを望むなら、私はどこまでもそれに応え続けてやる。今はまだ、とことん隠し続けてやる。いつか平がその気になってくれるまで──どんなに脈ナシでも、この縁が切れることだけは避けたい。諦めたくない。)
友達でいるのは当たり前っしょ?
(私だって、平にどうして欲しいのか、平とどうなりたいのかなんてわからない。いや、わかんないフリしたいだけなのかもしれないけど……好きだと自覚はしていても、自覚したばかりで私だって戸惑ってるところだ。
だから今は、平の言葉でちょっとだけ切ない気持ちになったことは置いとこう。平の様子を見れば普通に食が進んでるみたいでホッとして、私は気持ちを切り替えるように笑いかけた。)
| トピック検索 |