東 2024-07-20 01:24:27 |
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(ゴストのドリンクバーコーナーはおよそファミレスで想像しうる雑多なバーカウンター風だったはずなのだが――…………)
……なんかすっきりしてんな。
(黒と白を基調としたシックな造り。瀟洒な喫茶店のような装いに思わず目を泳がせた。
どこだグラス……ない。
マグカップはあるが……これか? これ使っていいのか……?
マグカップやら小皿やらがひっくり返されて陳列されているがさすがにマグカップでカルピスはねーよな……。
膝下にいくつか空いている棚があり、そこに収められているグラスを恐る恐る手に取る。使って大丈夫だよなこれ……。
まさかゴストで戸惑う羽目になるとは。当時の初カノジョとのデートの記憶が蘇って軽く憂鬱になった。前のままでよかったのに。何勝手にオシャレになってんだゴスト。
グラスをドリンクサーバーにセットしてカルピスのボタンを押す。
ジャバーと痛快な勢いを立ててカルピスが注ぎ口より迸る。……俺の置いたグラスの隣に。)
いや、わかりにくいだろ……。
(慌ててボタンから手を放して誰にも見られてないよな、と周囲を仰ぎみてから悪態づく。
サーバーの表示をよく見ると野菜ジュース系、お茶系、炭酸やジュース系と注ぎ口が分かれている。ジュース系はメロンソーダやカルピス、オレンジジュースなど種類も豊富でそれぞれの絵柄の矢印が一箇所に集約している。俺がグラスを置いた場所はお茶系らしく、二種類しかない。
俺はそのままウーロン茶を注いで、それから隣にグラスを並べてカルピスを程よく注いだ。
両手にグラスを掴んで席へ。以前来た時とは席の並びや配置も変わっていて若干戸惑ってしまう。
ドリンクバーコーナーもそうだが、ずっとおなじままではいられないのだろうか。
飽きるから? 新鮮味を取り入れるために? 今の流行に合わせて?
様々な可能性に思いを馳せてから俺はポツリと「今までのままいいだろ……」と一人ごちた。)
――東。それタッチパネル逆だぞ。
(席へと戻った俺はカルピスとウーロン茶をテーブルに置きながら何故か逆向きにタッチパネルを台にセットしようとしてる風の東に胡乱な視線を向けた。)
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