東 2024-07-20 01:24:27 |
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(でかい声で急に名前を呼ばれて、ビクッと大げさに反応してしまった。振り返ってみたら──いや私じゃないんかい。子どもを追いかける母親の姿を見て状況を察し、ちょっと脱力してしまう。まあ、そりゃそっか。知らない人の声だったし……さっきの子ども、アズっていうんだ。偶然だな。そんなことを考えながら親子の方を見ていたら、平が近付いてくる気配に気付いて視線を戻す。今思いっきり反応しちゃったの、見られてたらちょい恥ずいかも。いやその前に何か言えよ。なんで黙ったままなんだ。私は私で反応しすぎかもだけど、逆に平は反応薄くね?
目をぱちくりさせながら、下りてくる平を見上げる。たった数秒の時間がやけに長く感じた。肩に触れられると、距離の近さにほんの一瞬だけドキッとして顔が熱くなったけど──、)
へ?……ふふ、あはは!なんだそれ、私のパパか?
(予想外すぎる言葉にぽかんとしてしまったけど、たった今しっかりと聞こえてきたばかりの母親の言葉と全く同じセリフに笑いが止まらなくなる。突然謎の親子ごっこが始まったことも、どう考えても私の方がママじゃね?って思ってしまったことも笑えるんだけど──平が普通に接してくれたことにホッとしたのが、笑っちゃった一番の理由。
口元に手を添えながら、軽く涙目になってけらけらと笑い続ける。……気は済んだからそろそろ行こうか。なんか知らんけど子ども扱いされたし、こっちからも仕返ししてやろう。ファミレスに向かって歩き出そうとしながら、親子ごっこのノリのまま棒読みで返した。)
パパー。アズ、でっかいパフェたべたーい。
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