東 2024-07-20 01:24:27 |
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おー、ちゃんと高いな~。なんかさ、高いとこってテンション上がら──ん?
(最後の数段は、小走りどころか完全に駆け足で登っていく。そのまま近くの手すりに駆け寄って両手を乗せ、身を乗り出すようにして景色を眺める。ついさっきまで私らがいた信号前には別の親子が手を繋いで立ってたけど、ここからだと子どもだけじゃなくて母親の方までかなり小さく見えた。いつもとちょっと視点が変わるだけで、なんか楽しくなってくるのは何なんだろう。ちゃんとした展望台とかだと、もっと高くてワクワクするんだろうな。そんなワクワクを、一刻も早く平と共有したい気分になった。あそこにこれから行くファミレス見えるなとか、どっかに同じ学校の制服いないかなとか。他愛もない話をしながら、並んで同じ景色を見たいなと思った。待ちきれないと言わんばかりに勢いよく振り返って、後ろにいるはずの平に話しかけようとした。)
……えー。何その顔?疲労?
(顔色が悪いというか不機嫌というか暗すぎるというか。全部当てはまるようでどれとも言えない、何考えてんのか全くわかんない顔。負のオーラ出しまくりっていうか──いや、それは見慣れてる気もするけど。平って、急にそういうモード入る時あるよな。いつも何をそんなにグチャグチャ考え込んでるのかは謎だけど……それ今くるか?と、呆然としながら平を見つめる。さっきまで普通に喋りながら階段登ってたのに、この短時間に何があった。ちょっと心配な気持ちもあり、私は数歩戻って平に近づき不思議に思いながら顔を覗き込もうとした。)
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