保健室とは名ばかりで【オリナリ】

やった、流石先生。話が分かる
(安堵の息を漏らし、言われた通り奥のベッドに腰掛け)

物理。あのおじいちゃん先生、受験生だからって問題演習ばっかで飽きちゃうんだよね
(担当教員の顔を思い出せば眉を顰め)

あぁー…高田先生か…確かになぁ…でもあの先生、ちゃんと統計とって出やすい問題出すって、一部の生徒には信頼されてるぞ？…やっとけば間違い無いって、な。…そのまま居座るつもりなら、仕事手伝って貰おうかな、なんて
(ベッドに腰掛ける様子を見ると、眉を顰めた相手に話題に出た先生について少し話して。パソコン操作の手を止めて、すっかりサボる気になっている相手を見ると続けて)

それはそうなんだけど……物理って公式さえ覚えちゃえば解けるから。あの先生の教え方は俺には向いてないかなー
(同業者による弁明に、納得いかなそうにぶつぶつと文句を垂らし。相手からの誘いには二つ返事で了承して其方に視線送り)
特にやることもないし別にいいよ、何すればいい？

…まぁ、高田先生の肩持つわけじゃねぇけどな…教師には教師の苦労があんだよ
(またぶつぶつと文句を言っている相手にふっ、と口角を上げて返事をし)

んじゃ、これ。今年度入ってからの学年毎の統計を取りたいから、学年の欄の数字を上から読み上げてって
(何をすれば良いかと聞かれれば棚から保健日誌を取り出して手渡し。４月１日の欄を指差すと学年を読み上げて欲しい旨を伝え)

了解。まず4月1日ね、上から1、1、3、2――
(受け取った日誌をぱらぱらと捲り、指示通り学年の欄を読み上げていき。全体のおよそ半分に到達したところで一息ついては)
――こうしてみると結構怪我人って多いんだね。先生大忙しじゃん

ほいほい…
(相手が読み上げるのを聞きながらパソコンに打ち込んでいき)

んー…まぁ、大小あるけどな…全く誰も来ない、って日は殆どねぇなぁ…
(相手の言葉に確かになぁ、と考えながら答えて)

まぁこれも信頼の証じゃない？先生親しみやすいし
(ざっと保険日誌を見た限り、正直わざわざ保健室に訪れるほどでもない怪我は多々あった。ピンときていないような相手をくすくすと笑って。何事もなかったかのように続きを読み上げ始め)
――1、先生、一昨日が2、昨日が3。これで終わり！
(終わり、の言葉と同時にぱたんと日誌を閉じて、謎の達成感を味わいながらぐっと伸びを)

信頼の証、ねぇ…まぁ、養護教諭として、やれるべき事はやって来たつもりだがな…
(親しみやすい、と言われると気恥ずかしさから少し目線を落とし)

ん、ありがとさん…それはそこの棚に戻しておいてくれ
(終了宣言と共に日誌を閉じた相手を見て、最後の数字を打ち込むと日誌を仕舞う場所を指示して)

少し休憩…お前も飲むか？麦茶…早速だから少し食うか
(こちらも腰に手を当てぐっと動かすと立ち上がり、冷蔵庫から麦茶を取り出して紙コップに注ぎ。先程のレジ袋を見やると少し悪い笑みを浮かべて相手を見て)

バイト代ってことで貰おうかな。お茶菓子多めに買っといて良かった～
(言われた棚に日誌を戻すと、嬉々として相手の元へ)
先生って甘いもの平気な人？ここの豆大福すごい美味いんだよ
(先程渡した袋から豆大福をはじめとした和菓子を取り出せば、次々と机上へ並べていき)

…ここ置くな。…へぇ、豆大福…勿論好きだが…チョイスが渋いな…苺大福は無いのか…？
(麦茶を注いだ紙コップを自分のとは少し離れた所に置くと、豆大福をひとつ受け取って。さり気なく自分の好みを伝えると、他にどんな菓子があるのかと眺めていき)

苺大福……あったあった、はいこれ。店にあった和菓子買い占めてきたんで、大抵のものは揃ってんじゃないかな
(ごそごそと袋を漁ってお目当てのものを取り出せば、そのまま相手へ渡して)

ん、どーも…これだけ買ったら、結構するんじゃ無いのか？…口止め料にしちゃ、ちと高い気もするな
(受け取った包みを開きつつ、上記を述べ。何か言いたげな顔で)

だって今日だけの口止め料じゃないし。今後も見逃してね、大和先生
(含みのある笑みで視線を送り、反論は受け付けないとでも言いたげに豆大福にかぶりついて)

――あ、ごめん先生。そろそろ戻って出席誤魔化してくる
(ちらっと時計を確認すれば授業時間は残り僅かで、ばたばたと荷物を纏め)

ふっ、お前も言う様になったな。…これでも教師だからな、解けない問題があれば聞きに来い…ちゃんと教えられるくらいの頭はあるぞ
(いたずらっ子の様な、悪ガキの様な含み笑いを見るとこちらも少しやり手の様な返しをして)

…解った、また話が出来たらいつでも来い。気ぃつけてな
(慌ただしく荷物をまとめる様子を見届け、保健室から出て行くのを手を振って見送り)

ありがと、先生。じゃ、お茶ご馳走様！
(残り一口大になった豆大福を麦茶で流し込むと、足早に保健室を後にして／退室)

ん、とに…ここの人は見てても聞いてても飽きねぇな…楽しみにしちゃいけねぇんだけど…次は誰かな…
(相手がいなくなるとまた椅子に座り直し、パラパラと名簿をめくって。がらんとした保健室を見回し、息をついて)

…このままだと寝てしまうな…よし
(誰も来ないので、本当はいけないと解っているが眠気が段々と襲ってきて。あくびをしつつ立ち上がると保健室を出て“校内パトロール”を決行し。授業中の生徒や先生を遠巻きに眺めつつ歩き)

みんな、頑張ってんなぁ…

さて、と…今日は誰も来ないと良いなぁ…って言うと大抵は忙しくなるんだが…
(出勤後、まだがらんとしている保健室でひとり呟き。ドア越しに聞こえてくる賑やかな声に耳を傾けながら、パソコンにて資料をまとめ始めて)

pf>3.5

あ゛～………ヤマトぉ、いるかい～……？ｾﾞｪ……ちょいとねぇ、気分悪くて……ｾﾞｪ………休んでいいかねぇ？
(普段よりもかなり弱っている様子でゆっくり扉を開きながら。土気色の顔でよたよたとふらつく足取りで入室して)

はーい…って、大丈夫か…取り敢えず座るか
(入室して来た相手の様子に少し驚き、ベッドに腰掛ける様促して。ブランケットを持って来てかけてやると、顔を覗き込み)

…どうした一体、何があった？