名無しさん 2024-06-23 15:07:43 |
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───僕、そんなことも知らずに……すみません、僕と話すのつらかったですよね
( 一旦呼吸を落ち着かせ、彼の話を静かに聞く。途中運ばれてきた料理を受け取りながらも、思考は上の空だ。僕のような職種に苦手意識を持つという彼は、今この話をする直前までそのような素振りは一切なく、明るい笑顔を向けてくれていた。今だって持ち前の面倒見の良さが働いているのか、フォークを手渡してくれる優しさを、苦手だというアイドルの僕に向けてくれている。ずっと、無理をしていたのだろうか。僕のソロが好きだと言った時も、僕の名前の漢字ひとつ間違えずサインを書いてくれた時も。苦手だというわりに良くしてくれた記憶しか思い出せず、頭が混乱する。僕なんかに愛想良く接してくれているのも、プロ意識でこなしているのだろうか。本当は、葛藤があるのではないか。彼の話を聞いているうちに胸が締めつけられ、無意識に眉を顰めていた。自分が悲しいのではない、彼の気持ちを想像して苦しくなってしまった。彼が言うように、今後はもう会わない方がいいのかもしれない。その方が、彼を苦しめることもない。"アイドル"の僕が目の前にいたら、彼は傷つき続ける───ふと、ひとつの考えが頭をよぎった。アイドルという職種に抵抗があるのなら、その部分を見ないフリすればいいんだ。名案を思いついたようにパッと顔を上げると、言い放った )
……それじゃあ、僕のことを"アイドル"としてじゃなくて、ただの友人として見てみるのはどうですか?例えば、僕のことをテレビで見かけたら双子の別人だと思い込む……とか!そしてプライベートで会う僕はアイドルでもなんでもない、ただのユキさんの友人なんです。
もちろん簡単なことではないし、ユキさんには、苦しい思いをさせてしまうと思うんですけど……僕、ユキさんともっと仲良くなりたいです。……そんな偏見を忘れてしまうくらい、僕のことをちゃんと見てほしい。
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