アスティ 2024-06-05 12:58:40 |
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『死霊術師…?勘違いをしているようだな。ソイツらは確かに動く屍。だがそのカラクリはもっと原始的なものだ。…見るがいい、屍すら奴隷と化す呪われた種族の穢れた血を。ククッ、それを操る赤い瞳こそ、あの方が授けてくれた呪法。…堕天使とは不思議なものだ。なぁ、小娘』
("死霊術"という言葉に反応した老人が、足元のトランクケースを蹴り飛ばすと、蝶番が歪み開いた箱から無数の"中身"が転がり。切断された数多の人体、最低限の止血処理を施されただけと思しきパーツが、ウゾウゾと這いずり互いに結合を繰り返す。生ある者としての尊厳など微塵もない物体と化したそれらは、次第にフレデリクの背丈を越える長身の男として蘇り、その赤黒い瞳が目を覚ましたイゾルデを眺めて。屍体を動かすのは吸血鬼の血、それを操る赤黒い瞳について堕天使という単語を発し、アスティをちらりと老人が眺めて)
「お父…さん…。」
『汚らわしい吸血鬼共、感動の再会は済んだか?…純血種同士を交配させるんだ。母体になるイゾルデの胴は傷つけないようダルマにしろ、ツェペッシュ』
(放心したように蘇った化物を眺めるイゾルデの呟きと、楽しそうにその化物に命令する老人の言葉。それらに激高したフレデリクが長剣に螺旋状の火炎に似た魔力を纏わせて老人に切りかかるも、その間に割って入ったイゾルデの父-ツェペッシュが素手で刃を握り止めると、反対の手でフレデリクの腹部から胸部を引き裂き。鮮やかな鮮血を吐き出すフレデリク、吸血種となった彼の回復力を持ってしてもその損傷の回復には数分は掛かるだろうか。フレデリクを無力化した赤黒い瞳が、イゾルデの姿を眺め)
アスティッ!
…どうやら死霊術の類ではなさそうだぜ。血が屍体を動かすなんて意味がわからねぇが、筋肉に命令を送るのは、やっぱり脳なんじゃねぇかな。
…頭をぶち抜いても死ななかったら、そんときは別の戦法考えるとするかね…!
(相棒としてアスティを信頼していても、ダメージを受けた彼女の姿に思わずその名を叫び。致命傷でないことに安堵すると、老人のおぞましい呟きから想定された眼前の動く屍への戦術を告げて)
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