伏見静 2024-05-20 07:55:48 |
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(貴方の報告を聞いた大和川はふむ、と小さく感嘆の声を漏らした後─「成程…『悪神』。…何とも伏見らしい見立てだね。…鈴の音で犠牲者を決める神、または異形に変貌した怪異か…」ううん、と唸りながら、記憶の糸を手繰るかのように首を捻る。一向に進展しない状況に痺れを切らしたのか、刃の手入れをしていた伏見が面倒そうに顔を持ち上げては─「"捧げよ"。あの怪異は確か、そう言ってましたねえ…」まるで独り言を漏らすかのようなトーンでそう呟いた。その声を耳聡く拾った大和川は更に困ったような表情を浮かべ、自身の右頬にケロイドとして残る火傷痕に指先で軽く触れる。「捧げよ…か。と、すると…生贄文化の有る場所に祀られていたモノなのかな。崇拝する人間が居なくなっても尚、生贄を求め続ける哀れな神…」ぼそりぼそりと不明瞭に呟く大和川の瞳は何処か虚ろで─例えるならば、伏見と同じような雰囲気を漂わせていた。貴方のことなど最早目に入っていないかのように一人で呟き続ける大和川─その様子を見ていた伏見は溜息混じりに椅子から立ち上がり、細い手で大和川の頭を叩く。隨分手加減しているらしく─ぽふ、と軽い音が鳴るに留まったが、その刺激で─大和川ははっとしたように目を見開き、「…ああ、すまない伏見。少し…"向こう側"に行っていたらしい。」と伏見に謝罪した。が、当の伏見は特にそれを気にするでもなく瞬きを一つ、先程と同じ面倒そうな雰囲気のままデスクへと戻っていき)
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