伏見静 2024-05-20 07:55:48 |
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(伏見は貴方の声掛けに反応して目線を上げ、気にするなと言わんばかりに首を横に振った。その後の声掛けに対する貴方の返答を聞き、抜き身の刃を黒い鞘へと戻しながら廊下を歩く。今時の家にしては珍しい、かなり広めにスペースが取られた和室の襖を開け放てば─そこには、先程と全く同じ─酷く怯えた様子の面会人が、膝を抱えて震えながら俯いていた。その様子をちらりと見た伏見は─普段通りのトーンで面会人に声を掛ける。「…終わりましたよお。」面会人は伏見の間延びした声に反応して顔を上げた。終わったんですか、と心底怯えきったような声で問うてくる面会人に対し、伏見は表情を変えぬまま─ごく軽くではあるが、頷いてみせる。「…ええ、まあ。その証拠に…鈴の音、もうしないでしょう?」言われて初めて気付いたかのように耳に手を当ててはありがとうございます、と安堵し切った表情で礼を述べる面会人を─嘲笑するかのようにふ、と鼻から息を吐き出し─お気になさらず、と気の無い返答を返した後、相変わらずな猫背気味の姿勢でくるりと踵を返した。そのまま駐車場に停めてあった公用車へと向かい、ドアを引き開ける。「……疲れましたねえ。」伏見は我先にと車の助手席に乗り込み、刀をシートの横に立て掛けては軽く目を伏せながらそう呟き─右腕で目を緩く覆った。─帰りの運転も相変わらず、伏見は貴方に任せる気のようで─言葉にはしないが、ちらりと貴方を見遣って)
(それでしたら良かったです…!その解釈で大丈夫ですよ…!)
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