伏見静 2024-05-20 07:55:48 |
|
通報 |
(今会ったばかりの得体の知れぬ男、その上その男に日本刀を突き付けられて平常心でいられる人間など─居るはずもない。だが、この男は─目に見えて動揺こそしていたが、何処か腹を決めたような瞳で伏見を見つめ返した。「…どうも。」伏見は貴方へとぞんざいに礼を述べ、一層激しくなった異音に小さく息を吐く。─からん。刃を失った鞘が床に落ちる軽い音が、何かしらの合図だったかのように─伏見の革靴がざり、とタイル張りの床を滑った。刃が大きく振り上げられ、貴方のすぐ傍、その虚空を袈裟斬りに斬り付ける。動くな、と命じた通り─伏見の刃は貴方の、少しでも身動ぎすれば刃が当たるようなすれすれを通過し、虚空に存在した"何か"を斬り捨てた。─貴方に聞こえたかは知らぬ、断末魔の悲鳴が伏見の耳に届く。「…はあ、」疲れたような溜息を一つ吐き出した後、刃をゆったりと貴方の額辺りから降ろしては鞘を拾い上げ─その中に、慣れた所作で鋼の刃を格納した。キン、と鳴る音と共に刃は黒い棒へと戻り、伏見はそれをデスクの傍へと立て掛ける。「…ご協力どうも……もう"それ"は殲滅しましたので、ご心配なく。」先程よりは少しばかり緩く、ゆったりとした口調を貴方に向けながら瞬きをし)
| トピック検索 |